二時間がたった。戦況はあまり良くない。
シルアちゃんとレインが話しながら戦っている。…てゆーか、シルアちゃんの文句をレインが聞いているだけなんだけど。ラピスちゃんは…って、ん?!なんかすごそうな大魔法の詠唱をしてるんだけど!《名探偵》で見てみたら、びっくりなことにラピスちゃんの攻撃力が僕の三倍以上になっている?!信じられないけど、現実なんだから仕方がない。僕も頑張ろー!って、そんなことを考えている間にラピスちゃんの大魔法が完成した。
ラピスちゃんから黒くて細い光が放たれる。その光はドラゴンゾンビの翼、足、首など様々なところに巻き付いた。そして、ラピスちゃんが操り人形を動かすように手を動かすと、ドラゴンゾンビに巻き付いた光がドラゴンゾンビの骨に食い込んだ。ドラゴンゾンビは抵抗して暴れまわる。ラピスちゃんは苦しそうに顔を歪ませる。そう、ラピスちゃんが今使った魔法は強化された自分の力で敵を封じ込める技なのだ。敵の強さによっては自爆になってしまう。それでも、ラピスちゃんは僕達のために、そして英雄という夢のためにその魔法を使ったのだ。でも…現実は、ひどいものだ。
シルアちゃんが苦しそうに倒れた。巻き付いていた光から解放されたドラゴンゾンビが動き出した。そして、ラピスちゃんに向かって紫色の炎を放った。
一番近くにいた僕はラピスちゃんの盾になろうと、ラピスちゃんを抱きしめた。
『ゴォォォオオオ!!』
どんどん炎が近づいてくる。はは…。なんでだろ…。炎の動きがすごいゆっくりに見えるや…。死ぬ直前だからかな…?死ぬ直前…僕、死んじゃうのか。ちょっと怖いや…。その時だった。
『ピカァーン!!』
突然誰かの声がして、僕の目の前に光の壁が出現した。それに当たった炎が消えていく。僕…助かった?僕の腕の中にいるラピスちゃんが光の壁を発動させた人を見て、目を見開いた。
笑って話すその人は、英雄レヴァン・コリック、その人だった…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。