一瞬で血の気が引いた
なんで
僕が人魚だって知ってるの
やっぱりあのときヒレを見られてたんじゃ…
早く…早くなにか言わないと
言い訳を考えれば考えるほど、頭の中がごちゃごちゃしていく
その間に彼は風呂場に足を勧め
ついには湯船にまで入ってきた
突然の行動に困惑していると、突然目の前に手が迫ってきた
そしてそのまま
顔と、肩を掴まれ
お湯の中に沈められた
人間に姿では水の中で息ができない
苦しい…苦しい…
抵抗するが、彼は僕に馬乗りになっているため、どうやっても抜け出せない
水の中でも鮮明に聞こえるほど大きな声で叫んでいる
やばい…本当にもうやばい
肺の中に空気が残っていない
早く、息をしなくちゃ
僕は人魚の姿に戻った
まだ水の中に沈められているが息はできている
目も水に対応し、見えるようになってきた
僕を締め付けていた 手と足が次第に緩んでいく
そのとき見えた彼の顔は
悲しそうで…でも…絶望している感じではなくて
なんとも言えない
ただただも胸が張り裂けそうなぐらい
悲しい顔
彼は狂ったように笑い、
僕を水から引き上げたあと、壁に僕を押し付けた
怖かった
人間にバレた
これから何をされるかわからない
彼に掴まれた肩が熱く
自分の心臓の鼓動が聞こえる
それがたまらなく怖かった
母さん…って
こいつが、、、、、奈々の
息子?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。