あなたside
あれ、ここどこ…?
見た事ない壁、見た事ない毛布、見た事ないソファ…
もしかして、拉致られた?
確か私、死神くん達と一緒に帰ってたよね…?
死神くん達は無事?そしてここはどこ……?
それは私が小学1年生の頃。
両親が離婚した。理由はお母さんの不倫。
お母さんは家を出て、私はお父さんと家に残った。
でもお父さんも離婚してすぐ色んな人と付き合って、別れての繰り返しで。
私が中学生になる頃には家に帰ってこなくなった。
そして私への扱いはゴミ同然。
口癖は「お前が居なかったら自由なのに」
そんなお父さんの元で育った私は勿論グレた。
でも中2の夏、お母さんが亡くなったと知らされた。
涙1つ出なかった。自業自得だ とすら思った。
だって死因はDVだったから。「そんな男とつるむのがわるいんだ。」そう思っていた。
けど私に1冊のノートが残されていて。
内容は私への『謝罪』そして私への『心配』が綴られていた日記だった。
そのノートを読んだ日から私はグレ友と縁を切り、清楚キャラとして生きてきた。
でも受験期に入った頃お父さんが突然「家を出ていけ。新しい家は借りてある。そこで生活しとけ」
と言ってきた。私は反抗もせず従った。正直嬉しかったから。狂ってるよね、家を出される事か嬉しいなんて。でも私自身、この人から解放されるんだって嬉しさが込み上げてきて。
そこからお父さんとの接点は一切なくなった。
連絡もしない。顔を見せたりなんて勿論しない。
でも何故か今日、電話をかけてきた。
「家を出ていけ」と。「勝手にどこかいっとけ」と……
あぁ怒られる。
私はそう思った。けどこの人達は違くて。
褒めてくれた。私の事を。
私の汚れた心を洗い流すかのように、慰めてくれた。
私がこの人達を『憧れ』と思っていたのは、
この人達が優しいからじゃない。
1人1人の事を真剣に考えて、親身になって寄り添ってくれるから。
そう確信した。
皆、私の事を気遣って笑わせてくれてる。
私はこの愉快な4人が大好きなんだって、改めて実感した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。