夏休みが始まる1週間前___
私はすこしだけ変わった人の隣の席になりました___
名前はユンギ君。
ユンギ君はパッと見、いつも気だるげで何をしていても無表情でちょっぴり怖い感じがある。
だけど、そんなユンギ君の意外な一面を今日私はこの目で見てしまった。
彼がピアノを弾いていたのだ。
私は彼の演奏が終わった後、思わず拍手していた。
すると彼はこっちを見るなり、“今日、隣の席になった奴だっけ?“と首を傾げた。
私の存在を覚えててくれたのも意外で、すこしだけ嬉しかった___
彼はまたピアノのほうに顔を向けて、「明後日から夏休みだけど?」と私にいってきた。
私はどう返していいか分からなくなり、『そ、そうですね……!』
「フハッ、なんでそんなにかしこまってるのㅎㅎ」
初めて彼が笑った姿をその日見た___
今日は沢山意外な一面を見ることが出来たな、そう思った。
終業式が終わり、全員が口々に明日から始まる夏休みについて話している中彼だけは冷静な感じだった。
“明後日から夏休みだけど?“__
昨日彼に言われた言葉がどうしても気になり、気づいたら話しかけていた。
『ねぇ、ユンギ君。』
「お、なんだ?」
『昨日さ…私に夏の休みのことを話したじゃん?あれってどういう…「花火大会……」
『……え?』
「花火大会あるじゃん?」
『あ、うん』
「一緒に……どうかなって……」
そう言うと彼は下を向いていた。
でも、私はその時気づいてた____
ユンギ君の顔が全体的に赤くなってるの__
『うん!いいよ!』
「んじゃこれ。」
そうやって渡されたのは小さなメモ用紙。
その中を見るとユンギ君の連絡先が。
『ユンギ君……これって……』
「んじゃ…」
彼はそれを渡すと早足で帰ってしまった。
だけど私は彼に大声で
『楽しみにしてる!』
そういった。
すると彼も
「俺も!」
そう言って後ろを向いて手を振っていた。
まだ1週間しか話していない彼に私はどんどん惹かれていってたみたい___
だって、家に帰った今でも彼が笑った顔が頭の中心にずっと残っているのだから_____
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!