「めっちゃかっこいい人だよね!!」
そう、私はバスケ部のマネージャーを断って以来、ことごとく付きまとわれているのだ。
誰にって? 決まっているだろう。 彼に。
いつの間にか名前を知られていた私は、出会う度に声をかけられている。
分かってないじゃんそれ....
そして、暇なのかと思うほど休みには毎時間教室に現れる。
そんなやりとりを繰り返す日々。
正直言って....
確かに、入ってしまった方が楽なのかもしれない。
ただ、怖い。 あの頃の記憶が蘇ってきて、どうしても、踏みとどまってしまうのだ。
グラウンド側にいた私を呼んだのは、2年生らしき女子生徒2人だった。
だから嫌なんだ....
大体の事を察した上で、私は2人のもとへ歩いていった。
そして連れられたのは校舎裏。
ほんと、定番すぎて逆に笑えてくる。
黙り続けていると、しびれを切らした2人がついに本性を表した。私の胸ぐらを掴んで壁に押し付け、唸るような低い声をだした。
怒鳴り声をあげ、それと同時に耳には甲高い乾いた音が届いた。時間差でジンジンと痛みだした右頬。
叩かれた、と気付くのに、数秒かかった。
そのままずるずる引っ張られ、もう使われていないのか古びた倉庫に押し込まれた。
そのままガラガラと思い扉が閉められたあと、チェーンの音とガチャリという南京錠が閉まった音がした。
うそ.... 流石にこれはやり過ぎ....
────な に し と ん ね ん
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。