俺はすぐさま木の影に隠れた。
気になってチラッと覗いてみると宇髄と名乗った男が鬼と戦っていた。
改めて見るとやはり容姿が優れているなぁとしみじみ思う。
まぁ、そんなことを考えている余裕があるほどゆるい状況じゃないんだけどね。
なんか、すごい余裕あるね。
鬼相手なのに。
あの人そんなに強いの?
じぃちゃんが言ってた柱には見えないけど…
そんな事を考えていると、宇髄さんのすぐそばに鬼がきていた。
もう、爪が触れてしまうのではないだろうか、というほど近くに。
思わず声を出してしまった。
はいと返事をしようとした瞬間、
爆発した。
鼓膜が破れてしまうのではないだろうかというくらいの爆音が鳴り響く。
あたりが煙だらけになり、思わずむせてしまう。
今、何が起きた?の?
気付いたら鬼は倒れていた。
首と身体はそれぞれ別の場所に吹き飛ばされていた。
宇髄さんの向いていた方向と同じ方向を見ると、とても綺麗な朝日が出ていた。
思わず、視界に映った宇髄さんの顔を見る。
単刀直入に言うと、とても綺麗だった。
朝日に照らされた髪がより一層輝きを放ち、力強く見据えていた瞳も綺麗だ。
そして、とても心地よい音がした。
力強いような、
優しいような、
安心するような、
そんな音がした。
容姿に見惚れ、
音に聞き惚れてしまった。
そして、愛しいものを見るかのような温もりのある笑顔がトドメとなった。
なぜか無償に恥ずかしくなり、顔を下げていると声をかけられた。
思わず顔をあげてしまう。
頭をぽんぽんと優しく撫でられる。
何故だろう。何故かすごく嬉しい。
心地いい。
なんだろう、この感情は。
何故か、自然に言葉がでてきた。
今まで弱気だった俺が急に話し出したのが以外だったのか、目を丸くして驚いていた。
すぐさま笑顔になり、こう言った。
指切りげんまんをした。
俺より何倍も大きな手だった。
傷だらけで、鍛錬を詰んだ事がよく分かる手だった。
その後はすぐじぃちゃんの元に帰った。
じぃちゃんに怒られる事を覚悟していたのだが、怒りよりも心配が勝っていたらしい。
「どこに行っていたんだ。この馬鹿者!」と、半分くらい罵られながら抱きしめられた。
もちろん兄貴には激怒されたが。
――――
思い出してしまった。
それはもうハッキリと。
言えるわけないじゃん…
宇髄さんに褒められたから染めないとか…
しれっとえげつない事言うじゃん…
覚えてないんだ。
ズキッ
は?ズキッてなんだよ?
そこは安心するとこじゃねぇの?
――――
その後、うなぎを食べ家に帰宅した瞬間宇髄は思い出した。
と、しゃがみこみぶつぶつ呟きながら赤面していた事は、帰ってきた宇髄を迎えに行った雛鶴しか知らないのであった。
――――
更新が遅れてすみませんでしたぁ!!!!!!!!!!!
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ダイナミックドケザをしながら謝る主より。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!