第111話

終わりになんて。
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2021/03/11 12:27











あなたside






やばい。いや、もうやばいしか出てこない。



語彙力がバカになるほど焦っているという証拠だろう。




センラが………浦島坂田船のみんなの頑張りを部外者の私が壊すのか。



私が…センラと一緒にいたいなんて思っていたから…。



わがままが……ここに来て牙を剥いたのだ。

あなた
あなた
(どうしよう。私のせいで…………。)



いや、弱気になるのにはまだ早すぎる。



まだ………守ることは出来るはずだ。





聞かれたらなんて答えるべきか……。



友達…?いや、でも事実ではあるがそんな理由では納得してもらえるはずがない。



役にも立たないような苦しい言い訳しか考えつかない。


そんな中でも時間は刻一刻と過ぎていく。


crewの女の子達はもうこちらへと小走りで来ている。




もう……ダメなのか………。


crewさん
crewさん
あの!!


crewと思われる女の子の一人が思い切ったように私達に話しかける。



もう一人はその子の後ろにこちらの様子をうかがうように隠れている。


crewさん
crewさん
そ、その…う、浦島坂田船の…センラさん…
ですか……!?
センラ
センラ
っ………。


センラは、『これは本当にまずい……。』そんな顔を一瞬見せたが、すぐにファンへ向ける下手くそなニコニコ笑顔を貼り付けた。


 
バレバレなんですが。

センラ
センラ
うん…センラ、やよ。
crewさん2
crewさん2
へっ!?本物っ!!本物だぁー!!
crewさん
crewさん
待って待って待って…!!やばい。もう…
え、え!夢…じゃない…!?泣きそ…っ…。
あなた
あなた
…………。



私はただただ、その場に立ち尽くすことしかできなかった。





crewの二人はキャッキャと喜び飛び跳ねている。


私とセンラは気まずそうに顔を見合わせた。



と、センラの口がパクパクと動いた。

あなた
あなた
………??


速くて読み取れなかったので、首を傾げて『分からない』ということを伝える。


するとセンラは、今度はゆっくりと口を動かした。


ど…………な…………い…………し……………よ……………?




あ、どうしようかってことね。 


視線を足元へ移し、瞼をギュッと……深く、固く閉じた。


視界は真っ暗。何も見えない。



とにかく、『あなたは誰?』と聞かれることは間違いないだろう。


問題はどう伝えれば納得してもらえるのかだ。



自分もcrew作戦とかなら私もファンで握手してもらってました…これなら怪しまれない?



ふと、自分でも最低だと思うような感情が湧き上がってきた。






ほんとに………嘘をついてまで誤解を解く必要があるの?




このまま二人で逃げちゃえば…………。



あなた
あなた
(バカ。何考えてるんだよ、私のアホ。)
センラ
センラ
……………。


ゆっくりと瞼を持ち上げ、センラを真っ直ぐに見つめた。


センラは…『大丈夫だから。』そう言っているような気がした。



きっと、そう思いたいだけなのかもしれない。



けれど…………もう心は決まった。  





      私は逃げない─────────




きちんと話そう。わかり合おう。


センラと示し合わせてファンに嘘をつかせるなんて最低な事はさせちゃダメだ。





きっと………君となら大丈夫だ。









─────────
作者の性格の悪さが現れてる気がします。

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