あなたside
何も言葉が出てこない……。
どうしよう…何か答えなきゃ……
親のことを聞かれたらいくら楽しいときでも嘘のように言葉が出ない…
それに……言葉が出ない原因は他にもあった…
考えを邪魔している…それは
『彼女───────』
その言葉が頭から離れない…。
センラの彼女になんて似合わない……。
そもそも……センラのことは好きではないし………。
どうしてこんなにも苦しいのだろう……。
その理由なんて………分かってるはずなのに…。
この気持ちも……手遅れになる前に…
『消してしまわないと…』
センラに名前を呼ばれてはっと我にかえる…
視線を少し上に向けると、心配の色を浮かべた色とりどりの瞳が覗く。
その中でも一層心配そうに見つめていたのはセンラだ。
置いて行かれたなんてとてもではないが言えない…
ケンカした……なんて言うのにそんな時間はいらないだろう。
返って怪しまれるかもしれない…
え…?
悪くなるの間違いでは?
なんて言おうとしたが、気を使ってもらっているから心の中にとどめておいた。
ふいにじわりと目頭が熱くなった……。
あぁ…この人達はどこまでも温かい人だ…。
今までに感じたことのないような優しさに包まれ無性に泣きたくなった…。
泣くなんて柄でもない。
迷惑をかけないようスッと瞬きをして泣きたい衝動をしまいこんだ。
他人の家に勝手に上がり込んでおいてまだ居させてくれなんて厚かましいかもしれない。
でも…もう少し…ほんとに少しでいいから…
この温かさに触れていたい。
今のこの人たちの表情、声色…
それら全てから…
『ここにいていいんだよ。』
そんな事を言ってくれている気がした。
全て勝手な想像にすぎないかもしれない。
けれど……
この人たちは今の、今日の居場所をくれた。
それは紛れもない事実だと思った…。
たとえ、今日だけだとしても………
初めての優しさに戸惑うけれど……
今……私が言えるのはこれだけだ………。
心の底からの、本当の……
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小説を書くときって基本的に真顔なんですよね。
ネタを書いていても、ちょっとしんみりしたようなものを書いていても……。
無の世界ですね。この集中力が他のことに生かせたらなんて…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。