前の話
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私は、あの日からある奇病にかかっている。
あの、春の終わりから・・・
俺は佐野礼二郎だ。
マイキーこと佐野万次郎は俺の兄貴だ。
俺の兄貴はケンカが強くてカリスマ性もあるからみんなが兄貴の元へ行く。
それは俺が好きなあなたの下の名前も例外ではなかった。
俺があなたの下の名前を好きになった理由は特別なものでもない。
ただ、毎日容姿は似てるのに兄貴と違って全く笑わないし愛想もないと俺はよく言われていた。
そんな毎日があなたの下の名前が来たことによって変わった。
あなたの下の名前は俺たちを比べるなんてしなければ最初は警戒してひどい態度を取っていたのにそれすらもヘラッと笑ってみせちゃうんだ。
けど、案の定あなたの下の名前のあの綺麗な瞳には兄貴しか映っていなかった。
そんなことをもんもんと考えていると後ろからあなたの下の名前の泣き叫ぶ声が聞こえた。
走っていってみるとそこにはいつもの面影など微塵も感じ取れないほど血だらけの
兄貴がいた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。