フロアの1番端にある、人があまり来ないお手洗いの個室に、奏はいた。
横原「奏、いるかぁ?」
奏「…よこぴー?」
横原「ここにいたのか」
奏「俺のこと、探してたの」
横原「ばっきーから聞いた。泣いてたって」
奏「あぁ、ちょっとね笑」
横原「笑い事じゃないだろ。がちゃんと何があった」
奏「…何でもないよ。大丈夫。」
横原「話して」
奏「嫌だ。話したくない。」
横原「お前なぁ…」
奏「誰にだって話したくないこと、1つや2つくらいあるよ」
横原「分かったよ。でもさ、仲直りしろよ」
奏「…うん、それはもちろん」
横原「ならいい。ギリギリでもいいから絶対時間には戻ってこいよ」
奏「ううん、もう時間でしょ?戻る。一緒に行こ」
奏と共に戻ると、そこには全員がすでに集合していた。もちろん、そこにはがちゃんの姿もあって、ちらっと奏に目をやると下を向いて、奏はがちゃんから1番遠い席に座った。俺はその横に座る。
打ち合わせはいつも通り、円滑に進んだ。少しホッとしたが、あいつらの壁は残ったままだ。
横原「がちゃん」
大河「ん?」
横原「仲直り、しろよ?」
大河「…うん」
心ここに在らず、といった状態のがちゃんに自販機で買った缶コーヒーを渡してその場を後にした。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!