マネージャーさんが出て、4人だけになった部屋で、子どもみたいに飛び回って走り回った。
4人で何度もハイタッチした。
まるでデビューが決まったくらいにうれしかった。
信じられへん。
このメンバーでユニット組めるなんて。
望は走り回って僕の背中に飛び乗る。
でもそれが重いと感じひんから不思議。
しげは甲高い奇声発してなんかおかしくなってるし、神ちゃんは壊れたロボットみたいに「やばい」を連発。
どたどた走ってたら、ドアが開いてそこに苦笑いの濱ちゃんと淳太君、その後ろには照史君がいた。
しげが3人の所に走って行って淳太君の腕を掴んだ。
僕らを見て笑う3人を見て、しげが「せーの」と僕らを見る。
4人の色んな言葉が重なって、最終的に1番長かったしげの声だけが残る。
せーの、の意味なし。
それでも3人は聞き取れたらしく、「え!?」と声を出した。
3人はそう言って僕らを抱きしめてくれた。
拍手してくれる濱ちゃんと、めっちゃ笑顔の照史君。
淳太君は嬉しそうにそう言ってくれた。
淳太君と照史君は、二人でB.A.D.というユニットを組んでいる。
濱ちゃんはソロで、二人と一緒によく同じ仕事に呼ばれてる。
これからは、そこに僕らも一緒になれるのかな。
そう思うと、うれしくて、期待でいっぱいだった。
僕らは4人やけど、支えてくれる人がちゃんといる。
自分の事のように喜んでくれる3人を見て、心からそう確信した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!