第17話

重岡side
1,720
2018/02/16 05:40
ー「もってあと1年です」








ずっとずっと僕を診てくれていた、大好きだった先生が、今日はとても怖い顔をしてた。

先生の言葉が、今日はとても冷たかった。




言葉の意味なんてすぐに分かるのに、頭の中が真っ白になってうまく理解できない。





僕を挟むように座っていたオトンとオカンの目から涙があふれて、オカンは泣き崩れてしまった。

まるで、絶望したかのような、そんな涙。



先生は僕を見て、
「一緒に頑張ろうな」
そう言った。


先生の目も、涙で潤んでいたこと、気付いてたよ。






そんな先生も、泣き崩れるオトンとオカンも、
全部が他人事のように感じた。


あと1年やって、余命宣告されたのはオレやのに、

何で周りが泣いてるんやろう。


なんで僕は泣けへんのやろう。





そういや、ドラマとかでも余命宣告された本人は笑ってたりするもんな。


なんてどこまでも冷静な自分がいて、



僕の目の前に広がる悲しみの風景は、




まるで、ドラマのワンシーンのようだと思った。

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