第11話

神山side
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2018/02/13 15:26
僕が1番仲がいいのは、僕が入所して2年後に入ってきたしげ。

2年先に僕が入所してるから僕は先輩になるはずなんやろうけど、年はしげの方が上で、悪く言えば馴れ馴れしかったしげは後輩とは思えなかった。


悪戯はしてくるし、めっちゃ絡んでくるし・・(笑)


最初のうちはあんまり話さへんかった。


でも、一緒に仕事をする機会が増えたり、レッスンで隣同士になることも増えてだんだん仲良くなって。


話しているうちに、しげはいたずらばっかりする悪ガキではないということに(笑)気付いたんや。




ある日、レッスンの途中でしんどくてやめてしまった僕を見て、

「神ちゃんって体力ないん?」

そう聞いてきた。


小さい頃から体力がなくてすぐ疲れてしまうこと、貧血とか喘息とかあるし、ひどい時は倒れてしまったこともあること、学校の運動会では簡単な競技しか参加しなかったことを、
僕は正直に話した。


本当は誰にも言いたくなかった。


他の人と同じように、

「怠けてるだけや」

そう言われるのが怖かったから。



「僕もな?病気やねん」

しげがそう言った時、僕は驚いて「へ!?」ってすごい声出した。


しかも、聞きなれない病名で、症状も聞いていれば大変なことばっかりで。



「やから、神ちゃんの気持ち、ちょっとは分かるわ」

そう言って、しげはふふっと笑った。




その笑顔に、すべてを受け止めてくれたような気がした。

ただその笑顔だけで、重かったなにかがふっとなくなった気がした。




「でもびっくりやなぁ、おんなじような人がおるなんて」
しげはそう言って嬉しそうに肩を組んだ。




でも、ふと思ったんだよ。


そんなに辛い病気やのに、どうして病気だって分からなかったんだろうって。

よくよく見てみればしげはみんなより細いし、お弁当だっていつも作ってきた弁当だし、お菓子もあんまり食べへんし、ダンス中に壁にもたれかかってることやってあった。
ほとんど半袖を着ないしげがたまに半袖を着てくると、腕には注射の痣だってあったのに。


どうして分からなかったのかな。


答えは分かってる。


それは、しげがそう感じさせないからだ。

いっつも笑ってて、底抜けに明るいから。



とても強くて僕のことを気遣ってくれるしげとは、今では本当に仲が良くて1番の友達。


同じ境遇だから。

そんな理由で友達なんじゃないんだ。


僕はしげが大好きだから。

強くて優しくて明るいしげと、僕はずっと一緒におりたいと思うから。

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