第35話

小瀧side
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2018/03/10 13:29
小瀧
え!おんなし病院やったんや!
帰り道、しげと通ってる病院が同じだという事が判明。

今までよお会わんかったよね。
重岡
多分あの病院でかいし人多いから会ってても気付かへんよ
しげがそう言って笑う。
小瀧
大体、この辺で大きい病院ってあそこしかないもんな。
あ!じゃあさ、病棟のめっちゃ怖い先生知ってる?
重岡
村上先生!!
小瀧
村上先生!!
二人で顔を合わせて大笑い。
重岡
あの先生バリ怖いよな!会ったら思わず逃げるで!
小瀧
せやねん!眉毛の形すごいやろ!
重岡
食堂のおばちゃんさ、廊下で会ったら絶対あめちゃんくれる!お菓子あかん言うてんのに!
小瀧
入院してる人にあかんもん渡すってすごいな!

延々続く、病院トーク。

こんな話、絶対しげとしか盛り上がらんわ!


結局、乗り換えの駅までずっとその話で盛り上がった。

重岡
じゃあまた明日!いや、明後日やな!


しげがそう言って手を振ろうとした時、しげの腕を引っ張った。


しげは「ん?」と不思議そうに僕を見る。



小瀧
・・なぁ・・その・・あと1年って・・・ほんまなん?


僕の質問にしげはびっくりしてたけど、すぐに笑顔になった。



重岡
分からへん。僕の病気って、治療法が確立されてへんねん。やからな、先生たちも、試行錯誤やねんて。
それに、今まで何度も余命は伸ばされてきたし。
だって俺、見るからに元気やろ?
力こぶを作って笑うしげに、ほっとしている自分がいた。

小瀧
やんな!
しげ、一緒にデビュー、しような!!

そう言うと、しげは頷いて、「ああ、絶対夢、叶えような!」ってくしゃっと笑った。


初めて会った時と同じ、キラキラ輝いてる笑顔。



重岡
じゃあまたレッスンで
小瀧
うん!ばいばーい!
2人逆方向に向かいながら手を振る。
重岡
電車遅れんぞ!
呑気に手を振ってたら、向かいのホームでアナウンスが鳴っててしげが急げと指さす。

小瀧
やば!じゃあ、またなー!
重岡
気をつけろよー
走って行く僕に、しげはずっと笑って手を振ってくれていた。

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