望と仲良くなったきっかけって何やろう。
望と別れて1人になった帰り道、川に映る夕日を眺めながらふとそんなことを考えた。
レッスンでたまたま隣におった望は、年の割に大人っぽくて、背がでかかった。
まぁ、第一印象と言えばそれやな。
ダンスが上手かったから、休憩のときに声をかけてみた。
「ダンス上手いな」って。
そしたら「ほんまに!?」って目をキラキラ輝かせて喜んでた。
そんな望を見た瞬間から、多分僕は望に惹かれてた。
純粋で、素直で、まっすぐで、
この人とならもしかしたら何でも話せるかもしれへん。
根拠は何もなかったけどそう思った。
望とおっても他愛のない話ばっかりやけど、すごく居心地が良いんや。
理由なんてきっとない。
学校で友達になる人が、ただ隣の席だったから、とか、ただ部活が一緒だったから、とか
そんな理由と一緒やと思う。
でも不思議と落ち着く望の存在は、もう僕にはなくてはならないものなんや。
って
オレらしくないよな、こんなこと考えるのんて。
ちょっと恥ずかしくなって、石ころを軽く遠くに蹴った。
でも、
明日も楽しみや。
そう思う自分の口元は自然と緩んでた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。