夜の眠れない日が続いた。
休日も、家にいるのが落ち着かんで、
よく散歩に出た。
9月22日。日曜日。
その日は、近所の神社に行った。
神社の空気が好きだ。
静かで落ち着く。
それに、なんか特別なことが
起こってくれる気がする。
神様が、お願いする為の存在やなくて、
感謝を捧げる為の存在なのは、わかってる。
でもどうしようもなく、
祈ってしまう。
チャリンチャリンチャリン…………
カランカラン
パンッ パン。
お見舞いに行こうかとも思ったけど、
なんだか気が引けるけん、結局行ってない。
だから、せめて祈る。
深緑の中の静かな神社で、
ひたすらに彼の無事を祈る。
突然の声にビクッと身体が竦み、振り返る。
あぁ、と彼は頷き、
少し赤くなって俯き頭をかく。
歯切れが悪い。
いつも確かに彼は柔和な人だけど、
それとは違って、何か迷いみたいな…………
彼がゆっくりと顔を上げ、微笑む。
桜の最期のように、微笑む。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。