第73話

73 ーカミングアウトー
4,756
2023/03/23 06:35






JM side






テヒョン
テヒョン
ジョングガ〜
ジョングク
ジョングク
ん?どうしたんですか?
テヒョン
テヒョン
ふふっ、なんでもないけど、、
テヒョン
テヒョン
ん、



ちゅ


ジョングク
ジョングク
あっ、
テヒョン
テヒョン
ふふっ



ちゅっ ちゅ

ジョングク
ジョングク
っ、もう、、
ジョングク
ジョングク
くすぐったいです笑
やめてください
テヒョン
テヒョン
何?嫌なの?
ジョングク
ジョングク
嫌とか、
そういうんじゃないですけど、//
テヒョン
テヒョン
じゃあいいでしょ?
ジョングク
ジョングク
あっ、ちょっ//





ジミン
ジミン
、、、







甘すぎる




テヒョンアとジョングガが甘すぎる。






なんだこの空気感
  



甘ったるすぎて半径3メートル以内に近寄れない。






胃もたれする。




胃薬、今すぐ胃薬が欲しい。









昨日までの、あのどんよりとした空気からは

想像できないほどの、2人のいちゃつきよう。






テヒョンアがジョングギの首にキスして、

それをグガは、満更でもなさそうな顔で制してる。







この異常な空気を感じ取ったのは、

他の4人のヒョン達も同じみたいで、

みんな、まるで未確認生物を発見したみたいな

目を向けていた。






テヒョンアとジョングガの、

あの、ラブラブ具合を疑問に思ってる。







あー、これは大変だ。


ヒョン達にも胃薬あげないと。






皆んなの胃の心配をしながら、

僕はソファーから、腰を上げた。




ジミン
ジミン
はぁ、行くか、、



ぐいっ



テヒョン
テヒョン
え、ちょ、何?
テヒョン
テヒョン
どこ行くの?ねぇ?
ジョングク
ジョングク
ジミニヒョン?





テヒョンアの首根っこを掴んで連行する。




急に動き出した僕を、

ジョングガが不思議そうに見上げた。





なんかもだもだ言ってるテヒョンアの声は無視して

一応、グガには断りを入れた。



ジミン
ジミン
グガ、ちょっとテヒョンア借りるわ
ジョングク
ジョングク
あ、どうぞ
テヒョン
テヒョン
え、グガなんでそんなこと言うの、
ジミン
ジミン
いいから行くぞ
テヒョン
テヒョン
グガぁぁぁぁ、、!!





グガは存外、さらっとテヒョンアを手放した。






きっとグガは察したんだろう。



僕がテヒョンアに何か大事な話があることを。





そんな空気を読んだグガとは裏腹に、

離れたくないと手を伸ばすテヒョンア。





そんなこいつに呆れながら、

無理矢理、自分の部屋まで引っ張った。




ジミン
ジミン
おい
テヒョン
テヒョン
急にどうしたの?





僕がわざとドスを効かせた声を出したって言うのに、

目の前の親友はにやにやしたまんまだ。





口の横に皺がよって、目は幸せそうに細められてる。




ほっぺがこれでもかってくらい上がって、

緩み切った顔面。





ジミン
ジミン
その気持ち悪い顔やめろ
ジミン
ジミン
緩みすぎだろ
テヒョン
テヒョン
ふふっそう?





僕に指摘されても、

満更でもなさそうな顔をするテヒョンア。





まぁこの際、その腹立つ顔はどうでもいい







僕がテヒョンアをここまで引っ張ってきた

目的を達成しないといけない。






にやついた顔を一旦視界から外して、

真っ直ぐテヒョンアの目を捕え、僕は口を開いた。




ジミン
ジミン
僕に何か言うことは?
テヒョン
テヒョン
言うこと?
テヒョン
テヒョン
んー?
テヒョン
テヒョン
特に何もないけど
ジミン
ジミン
はぁ?





予想外の返事に、

思わず座っていた椅子から、転げ落ちそうになった。









テヒョンアが僕に言わないといけないこと。









昨日2人の相談に乗って、僕は心配してた。




深刻そうな様子だったし。






だけど、何があったのか、

朝起きてみると、あっまい雰囲気を醸し出す2人。





仲直りしただけにしては、甘すぎる2人の表情。







 
そこから推測して、僕はてっきり、

付き合ったんだって思ってたんだけど、

見立て違いだったか?






テヒョンアのとぼけた顔見たら、

そんな気もしてきた。




テヒョン
テヒョン
あ!
ジミン
ジミン




はぁ良かった、、




やっぱり僕の見立てはあってたみたいだ。





ようやく思い出したのか、

口を大きく開けて、ハッとした表情をしたテヒョンア。








そうだよ、それを待ってたんだよ







僕が待ってたのは、付き合ったっていう報告。






雰囲気で何となく分かったけど、

テヒョンアの口からちゃんと聞きたかった。







テヒョンアからはずっと相談を受けてきたし、

結果をお預けされた感じがして、むずむずしていた。






ようやくいい報告が聞けると、

期待を含んだ目でテヒョンアを見つめる。






だけどテヒョンアの口から出たのは

また、突拍子のないことだった。






テヒョン
テヒョン
そういえばさ?
テヒョン
テヒョン
俺の友達の友達がジミナのファンって言ってて
テヒョン
テヒョン
えっと名前なんだっけ確か、、
ジミン
ジミン
は、?
テヒョン
テヒョン
ん?どうしたの?





はぁ、?






勝手に違う話を進めるテヒョンアに、

混乱と、もどかしさが募る。






徐々に溜まるイラつきを振り払って、

何とか間違いをを正した。




ジミン
ジミン
っ、そうじゃねぇよ!!!
ジミン
ジミン
僕に!報告しないといけないことがあるだろ!!??
テヒョン
テヒョン
え?報告、?
テヒョン
テヒョン
、、あ
テヒョン
テヒョン
あぁ、そのことか
ジミン
ジミン
そのことか、じゃねぇよ!
ジミン
ジミン
なんであれだけ人を振り回しといて言いにこないわけ?
ジミン
ジミン
お前には礼儀ってもんがねぇのか?あ?
テヒョン
テヒョン
ご、ごめん





平然とした顔で答えたテヒョンアに、

なんか腹が立って、怒りのままに詰め寄る。







僕に相談したからには、最後まで報告するのが筋だろ?






謝ってきたテヒョンアを見ると、

すんごい申し訳なさそうな顔をしていた。





なんかその顔見たら、ちょっと言いすぎたかなって

気持ちになって、仕方なく許すことにした。










ようやく付き合えたんだ。




一生告白するつもりはないって言ってたこいつが、

思いを伝えれたんだ。










恋愛には不向きすぎる、2人を取り巻くこの環境。







僕らも一応芸能人。




出歩く時はいつも誰かに見られてる。




それは記者だったりもするし、

一般の方達だったりもする。






いつ撮られているか分からないし、

ありもしない記事を書かれたりもする。








恋をするには、色々と障壁が多い。







そんな中、2人の前には

誰よりも分厚い壁がそりたっていた。







人気アイドルグループの、

メンバー同士が付き合ってるって知られたら

世間は大騒ぎ。






祝福の声もあるだろうけど、

もちろん批判の声も浴びせられる。





まるで見せ物のように、

2人の絡みが取り上げられていく。








バレてはいけない。





壁を超えた先に、必ずしも幸せがあるとは限らない。





周りによって引き離されることもあるかもしれない。





 
だけど、今はそれじゃないよな






男女間の告白でも、嫌われるかもしれないって

不安になるのに、ましてや男同士。







その分厚い壁を超えて、

引かれるかもしれない、
 
今の関係が崩れてしまうかもしれないって

そう、恐れながらも、自分の気持ちを曝け出せた2人を

褒めてやりたい。







怒るよりも、心配するよりも先に、

僕があげないといけないのは、心の底からの祝福。







それが相談を受けたやつの、

メンバーとして、2人の関係を見守るヒョンとしての

筋ってやつだと僕は思った。

  



ジミン
ジミン
おめでとう
テヒョン
テヒョン








とびっきりの笑顔で、

テヒョンアへ投げかけた、「おめでとう」って言葉。









1番に伝えないといけない言葉はこれだったなって、

少し反省した。




























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