第74話

74 ーカミングアウトー
4,124
2023/03/25 06:00







TH side







テヒョン
テヒョン
ヒョン達、、ちょっといいですか、?





緊張で震えそうになる声を、なんとか抑える。




隣をちらっと見ると、グガも不安なのか

手をもぞもぞと、仕切りに動かしている。





その手をそっと握って、緊張を半分こする。





驚いてこっちを向いたグガと目を見合わせ、

すぅっと大きく息を吸って、

なんだなんだと言葉の先を伺う

ヒョン達の方を、真っ直ぐ捉えた。








覚悟を決めよう。






俺は1人じゃないから。















ジミナに部屋に引っ張っていかれた時、

こんな話をした。




ジミン
ジミン
て言うかさ、ヒョン達にはいつ報告するつもり?
テヒョン
テヒョン
、、、

テヒョン
テヒョン
もうちょっと、先じゃダメかな、?
ジミン
ジミン
え、なんで?





ジミナの何気ない一言に、

浮き足だってた気分が、急に落ちた感覚がした。






完全に忘れていた。



ヒョン達のことを。






同じ宿舎内のメンバー同士。




隠そうと思ってもいずれかはきっとバレるだろうし、

今まで支え合ってきたヒョン達に、

隠し事するのは忍びなかった。






隠し事は、今回の件でもう懲り懲りだ。




いいことなんて何もないのを、身をもって実感した。








なのに俺が、ヒョン達に付き合っていることを

報告するのを躊躇っているのには

ちゃんとした理由がある。





テヒョン
テヒョン
怖いんだよ





俺らは男同士だ。




まだそんなこと言ってんのかって

思われるかもしれないけど、

不安なんだ、俺は。







ヒョン達に、そんな偏見はないのかもしれない。





だけど実際に、身近にそういう奴がいたら、

気持ち悪いって感じる人が

メンバー内に、居ないとは限らない。




言い切れない。






ジミン
ジミン
伝えて引かれるのが、距離を取られるのが怖いってことか、、
テヒョン
テヒョン
そういうこと





俺だってちゃんと考えてたんだ。




表では、頭の中お花畑見たいな顔しか出してないけど、

心の奥ではちゃんと考えてた。




どうやってみんなに伝えようって。






その結果、報告した先に見えたのは、恐怖だった。





みんなに引かれる恐怖。




テヒョン
テヒョン
ははっ、俺ってほんと弱いなぁ、、





自分を嘲笑うかのように皮肉を込めて、

床に投げかけた言葉。




今俺、きっとすっげぇ情けない顔してるんだろうな。





ジミナが眉を寄せて、哀しそうな顔で俺を見てたから、

そう思った。





そんな顔をしていたジミナが、

急にぶんぶんと頭を横に振った。




まるで何か邪念を振り払うように。




ジミン
ジミン
誰だって怖いよ





ぷっくりとした唇から紡がれた言葉に、目を見開く。




ジミン
ジミン
認めてもらえないかもしれないことをするのには勇気がいる


ジミン
ジミン
理解は、してもらえないかもしれない
テヒョン
テヒョン
っ、





やっぱりそうだよな




ジミナもそう思ってたんだと思うと、

一気に不安が増大した。



ジミン
ジミン
だけどさ?



ショックで俯いていた顔を上げると、

にっこりと優しく微笑むジミナの顔があった。


ジミン
ジミン
それでお前らのこと嫌いになるなんて
こと、絶対にない
ジミン
ジミン
きっと祝福してくれる
ジミン
ジミン
だって僕らのヒョン達だよ?





心の奥底を、見透かされていたようだった。




それほどまでにジミナの言葉は、

俺の心をふわっと掬い上げた。





暗い場所でひとりぼっちで泣いている、

小さな子供に手を差し伸べる青年のように、

その眼差しは暖かいものだった。




テヒョン
テヒョン
そう、だよ、な
テヒョン
テヒョン
ヒョン達だもんな、、





今までの記憶が蘇る。







俺らがふざけていると、1番に叱ってくれる、

ナムジュニヒョン。






一緒にふざけているように見えて、

実はこっそり支えてくれている、ジンヒョン。






そっけない態度をとってくるおじいちゃんだけど、

いざという時には、真っ直ぐ心に寄り添ってくれる

ユンギヒョン。







落ち込んでいる時でも、明るく話しかけて、

抱きしめて、愛を伝えてくれる、ホソギヒョン。







それから、、いつも隣で支えてくれる、

俺の親友ジミナ。







ジョングガ、

俺達すっごく良いヒョン達を持ったみたいだ。





俺このグループに入って、

今までアイドル頑張ってきてよかったって、

心の底からそう思った。








だって、こんなに良いグループ、他にはないから。






ジミン
ジミン
まずはジョングギと話し合ってみたら?
テヒョン
テヒョン
うん、そうする
ジミン
ジミン
あ、ジョングギに言っとけよ?
テヒョン
テヒョン
何を?
ジミン
ジミン
僕がお前らが付き合ってること知ってるの
ジミン
ジミン
色々拗れたらめんどくさい
テヒョン
テヒョン
あぁ、うん分かった
テヒョン
テヒョン
ちゃんと言っとく
ジミン
ジミン
よし





めんどくさいってなんだよって言葉は飲み込んだ。



また怒られたら怖いから。






確かにそうだな。




隠し事は無しだもんな。







グガが、こんなしょうもない隠し事で傷つくのは嫌だ。





俺の素直な返事に、ジミナは腕を組んで

満足そうに頷いた。




テヒョン
テヒョン
ジミナ
ジミン
ジミン
ん?





部屋を出ようと腰を上げた。




ドアノブに手をかけた時、

ふと、大事なことを思い出して足を止めた。






ここまで相談に乗ってくれて、

支えてくれて、

俺は本当に、、



テヒョン
テヒョン
ほんとにありがとう



ありがとうって、感謝の言葉を、

言っても 言っても 言い足りない。


ジミン
ジミン
ふふっ良いよ
ジミン
ジミン
あ〜僕も恋したいなぁ



羨ましそうにこっちを見ながら、

そう言ってくるジミナ。



だけどその顔は、どこか嬉しそうだった。



テヒョン
テヒョン
あ、紹介しようか?
テヒョン
テヒョン
確か俺の友達の友達がジミナのファンだって、、
テヒョン
テヒョン
名前なんだっけ、、
ジミン
ジミン
さっきも聞いたよ、そのくだり
テヒョン
テヒョン
そうだっけ?




呆れたように笑うジミナ。


そういえば言ったような気がしなくもない。



ジミン
ジミン
まぁいいよ
ジミン
ジミン
お前らが幸せならそれで




満足げな顔をしたジミナに、

俺は思いっきりハグをした。




驚いたように固まったジミナ。




だけどすぐに我に帰り、強く、抱きしめ返してくれた。




テヒョン
テヒョン
ありがとうジミナ
テヒョン
テヒョン
愛してるよ
テヒョン
テヒョン
ジョングガとは違う意味で
ジミン
ジミン
、、ん、そっか笑
テヒョン
テヒョン
え、言ってくれないの?
テヒョン
テヒョン
俺、言ったのに
ジミン
ジミン
言わないよ
テヒョン
テヒョン
なんで




俺は言ったのに、返してくれないのは心外だった。




なんだよ



俺たちの友情はそんなもんだったのかよ




ここまで言ったら引くことができなくて、

なんでって問い詰める。





ジミン
ジミン
はぁぁぁ、、、
ジミン
ジミン
いい歳した大人が友達同士で"愛してる"なんて言い合うの恥ずかしいだろ!!
ジミン
ジミン
こういうのは言われてから言うもんじゃないんだよ!!
テヒョン
テヒョン
えーいいじゃん言ってよ!
テヒョン
テヒョン
ほら「あ」って!
テヒョン
テヒョン
ほら!!
ジミン
ジミン
だぁぁーーーーーーっっ!!!!
ジミン
ジミン
めんどくせぇなぁっ!!!
ジミン
ジミン
言えばいいんだろっ!?



ジミン
ジミン
愛してるよっ!!!!






このやりとりが、ジョングガに聞かれていたらしく、

この日は口を聞いてもらえなかった。





嫉妬してくれたグガも可愛かったけど、

やっぱり無視されるのは流石に堪えた。





調子に乗りすぎたなって今、後悔してる。







だけど許してほしい。




グガと付き合えてたのは、ジミナのおかげだから。







ほんとに俺は周りの人に恵まれてる。






みんなありがとう


愛してるよ









ジョングガが1番なのは譲れないけど。





































  










 

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