目が覚めたらすごく近い距離に詠太くんの顔があって…
びっくりして、つい顔を上げちゃって…
詠太くんとデコをぶつけちゃった…
まぁ、詠太くんから大丈夫…かな?
爪…?
しかも両手…?
そんなの…耐えきれない、。
3つも鍵があるなんて、聞いてないぞ!?
…それに、なんだか静かだ……
そう思い時計を見るともう1時だった。
日にちが変わってしまった…
僕は相当長い時間寝てしまっていたらしい、。
そんな僕を詠太くんはずっと見張っててくれたのだろうか…
そうなんだ…
なんか、色々とアリなのかもな…
出会った時からずっと不思議だった。
さっきだって、まだ脱出ができないって発言をした時、絶望的な顔なんてしてなかった。
逆に、楽しそうで、嬉しそうな顔をしていた。
僕にはできっこない事だ…
詠太くんは、僕の問いかけに正直に答えてくれたけど、それ以上に話を広げようとしなかった。
多分…話したくないことがあるからだ。
なら、僕もあまり話を大きくしないようにしよう…
詠太くんとの会話はだんだん慣れてきた。
なんだか…なんでも話せるような雰囲気をもってるな…詠太くんは…
それに、すぐに勘づいてくれる。
言いづらそうにしてると、詠太くんの方から話をしてくれる。
そういえば…僕と同級生だったはず。
違う学校だけど…
こんなふうに…
もっといろんな人の話を聞けたら、いいな……
詠太くんと長話をしてるうちに僕達は寝てしまっていた。
僕は…お腹に感じる血の温かさと、傷の痛みを感じながら。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。