そうして、また新しいカートを配れた。
僕のカードは……『嘘』…
そんなっ…僕が…人を殺すのか…?
僕はたまたま…詠太くんの顔を見た…
けど、あの目に…一滴も潤みはなく…殺意がある目をしていた……
他のみんなは今までとおなじ反応。
自分のカードについて何も表情を変えない。
なのに詠太くんは…。
今回のカードを見ると…死んだ目を…今にも吸い込まれそうな目をしている。
む、無意識だった…
ほんとに大丈夫なのかな。?
けど、美穂さんは嘘をつかない。
あの笑顔は本物だった、。
ルール変更?
そんな事するのか…一体どんな変更だ…?
そんなことしたら…殺す人はいなくなる…
……え?
排出人間がいなくなる…殺せなくなる。
ってことは……今回の『嘘』は…
…やっぱり……
僕の嫌な予想は…的中した…
そんな…。なんで、こういう時に限って『嘘』になるんだ…
ここにいる人たちを殺す?
そんな事を絶対に嫌だ…けど…これをやらなきゃ、僕らは脱出できない、。
『嘘』はこの僕だ…
だから、みんなは死ぬ確率がとても高い。
そう言う面で、僕は有利だ。
けど、誰を殺す…?誰が殺しやすい…?
誰を殺せば…1番罪悪感がうまれない?
僕が色々と考え事をしているうちに、詠太くんは僕の目の前で満面の笑みを浮かべていた。
何を言っている…?
『嘘』は僕のはず…
それに、例えば詠太くんが『嘘』だとしても、こんなことを聞けば、詠太くんが『嘘』だと疑われやすくなるだけだ…
僕は何を口走っているんだ…?
詠太くんは『嘘』じゃないのに…
けど、なんだか詠太くんの言葉に嘘はなさそうに聞こえて…なんだか、怖くて…
え、まさか怒った?
無言。?
なな、なんでだろ…?
詠太くんの気に触るような発言だったのかな!?
けど、なんであんなことを?
この三日間…詠太くんに振り回されてばっかりだな、。
あ、涼也くん…自分の部屋へ行っちゃった…
……というか、裁判とか色々やってるうちにもう遅い時間だ…
凛は…目玉を奪われてから、しずかになった。きっと、あの痛みに怯えているのだろう、。
美穂さんは周りに流されるように、自分の部屋へと行った。
あ…そうか…
前の殺人は詠太くんの部屋だったっけ…
しかもベッドの上…
そんな所で普通ねたくないよな…
……そういう所は詠太くん普通なんだな、。
詠太くんなら、そういうの気にしないで普通に寝てそう、。
詠太くんは、そう言いながらリビングにあるソファーに寝転がる。
……まてよ…?
ここでもし、僕が一緒にいれば、殺せるんじゃ…?
リビングとみんなの部屋は階が違う。
リビングは1階。
みんなの部屋は…2階だ。
声を聞いて駆けつけるのにも時間がかかる。
よっぽどな事がない限り、殺している所も見られない。
このチャンス…逃せない…
うっ…なんで、か…
なんて言おうかな…
よ、よかった…
半分くらい疑いの目があったけど…
このまま…詠太くんがぐっすり眠ってくれれば…僕は……
人を殺せる。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。