俺はスーツ姿のあなたを車に乗せる。
顔が死んでいるのは絶対に気のせいじゃない。
昨日、父さんとコントのような会話をした後、
また父さんがあなたに会いに行き、誘ったらしい。
そりゃあ、あなたにとっては父さんは社長だから
断りずらかったのだろう。
俺は車を運転しながら、膝掛けを渡す。
もうあなたが寒がりなのは勉強したから、
膝掛けとホッカイロは車の中に準備してある。
俺は片手でペイペイと振り払って、
信号を右折する。
はぁ…もう着いちまうよ。
…おう。と、俺は頷く。
そうだ。俺達の関係がバレなければ良い。
でも今の俺は少し複雑な心境。
あなたはやる気に満ちた目。
俺は、それを可愛いなと思いながら
道路を真っ直ぐに進んでいった。
私が恐る恐る広い玄関の中に入れば、
それは綺麗なお母様がお出迎え。
ジョングクさんの初彼女だからか、
お母さんも結構テンションが高くなってるみたい。
ジョングクさんは片手で詫びた。
お母さんの後ろについて、長い廊下を歩く。
ジョングクさんも少し緊張しているのだろうか。
顔が凄く険しい。
あ、こういう感じの家族なんだ。
もう少し堅苦しいかと思ってたけど、
全然明るいじゃない。
綺麗なドアの中に入れば、
それはそれは広くて豪華なリビング。
テーブルには沢山の料理。
何だろう。地味に緊張する。
隣にいるジョングクさんは一言も喋らないし。
私どうしたら良いのよ。
あ、絶対これ普通に接すれば平気だ。
まじで可愛いなこの家族。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。