ジョングクさんに肩をトントンと叩かれ、
暗くなった視界に光を入れる。
いつの間にか寝てしまったらしい。
フロントガラスの外に見えるのは、
カラフルな世界。
そう言いながら、ジョングクさんは車から出る。
そして助手席のドアを開けた。
照れてない。と、おでこにデコピン。
ジョングクさんは大袈裟に痛がった。
そういうところは子供っぽいんだから。
そう思った時、ジョングクさんは手を出した。
私は、はぁ…と溜息をつきながら手を握る。
その手をジョングクさんはスルリと変え、
俗に言う恋人繋ぎに。
顔には出てないと思うが、心臓ばくばく。
まず手を握ったことなんて無いし、
こんな可愛い顔で、手はちゃんと男の人なんて
すっごく気付きたくなかった。
そういうところだ。と、私にデコピン。
大袈裟と言うか本気で痛いわばか。
そんなくだらない会話をしながら、
入場料を払ってゲートの中に入る。
入れば、カラフルな世界が視界いっぱいに。
ほぼ初めてと言ってもいい光景に、
私は目をキラキラさせてしまう。
最初は、子供っぽいところなんて思ってたけど、
入った瞬間に心が踊りだす。
これは楽しまなきゃいけない。
いややー…と、子供のようなジョングクさん。
そんなジョングクさんの手を引っ張りながら、
行列の後ろに並ぶ。
初めてだし。と、笑いかける。
ジョングクさんは嬉しそうにくしゃっと笑った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。