第2話

星が降った日
1,693
2019/06/03 11:15
グク
グク
はぁぁぁ…
テテ
テテ
幸せ逃げるよ
グク
グク
もう逃げてるよ
エレベーターに乗り込み、5階のボタンを押す。

外の世界よりも全然静かだ。
テテ
テテ
この際、恋人作ればいいじゃん
グク
グク
それが出来たら苦労してないって
テテ
テテ
じゃあ、あれは?
偽の恋人!と、人差し指を立たせるテヒョン。

…偽の恋人。何か、嫌な響きだな。
テテ
テテ
人聞き悪いかもしれないけどさー、
母親からのお見合い電話は消えるんじゃない?
グク
グク
…あー、それは有り得るかも
チーンと、エレベーターが止まる。

少し考えておくよ。と、テヒョンに言いながら

エレベーターを降りた。
テテ
テテ
じゃあ、俺こっちだから〜
グク
グク
頑張ろうな
2人でパチンッとハイタッチをして、

自分の部署へ入る。

部署っていうか、俺は個室なんだけど。

…それを作った父親すらも今は憎い。
グク
グク
偽の恋人…ねぇ
机に鞄を立てかけて、椅子にもたれる。

ユラユラと椅子を回しながら考えた。
グク
グク
お見合い電話が消える
自分の口から出た言葉が頭に響き渡る。
純粋な恋愛がしたい。でも出来ない。

結婚もしたい。でも見合いは嫌だ。
そんな考えがグルグルと頭の中で回る。

ワガママなのだろうか。

でも生涯を共にするパートナー。

それを見合いなんかで決めたくない。
グク
グク
…作ろう。恋人(偽)
そう決意して、1人で頷く。

だがしかし、問題はこれからだ。
まず、恋人(偽)になってくれるような人が居ない。

さぁどうするチョンジョングク。
グク
グク
…いいや、後回しにしよう
目の前の問題を解決するよりも、

単純な作業の仕事をやった方が今はいい。
そう現実逃避して、俺は机に向かい合った。
グク
グク
疲れた…
3時間は経っただろう。

ずっとパソコンを見ていると目が疲れる。

ただでさえ、気分が急激に下がっているというのに

今日に限って文字の打ち間違えが多い。
グク
グク
ついてないな今日
首を締めつけているネクタイを少しだけ緩め、

椅子から立ち上がる。

コーヒーでも持ってこよう。少し休憩したい。
そう思ってドアを開けた。

その時、ドンッ!と鋭い音。
慌ててドアの外を見てみれば、

タイトスカートを履いた女性が頭を押さえている。
グク
グク
す、すみませんっ!気づかなくて!
you
you
大丈夫ですっ、少しぶつかったくらいなので
女性に気を配りながら、散らばった書類を集める。

本当に今日はついてない。

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