第12話

星が降った日
1,177
2019/06/09 13:49
部屋に戻り、

机に置いていたスマホを見る。

画面には『母 不在着信』とだけ。
グク
グク
…またか
俺は深くため息を吐いた。

何でいつも断っているのに気付かないのだろう。
俺は画面を開いて、母に折り返し電話。

3コール目でスマホから声が聞こえた。
グクの母
グクの母
もしもし?何で電話でないのよ〜
グク
グク
仕事だし
冷たい言葉はスラリと口から出た。

もう俺も我慢の限界が近いんだと思う。
グク
グク
あと母さんに報告がある
グクの母
グクの母
どうしたの?
グク
グク
恋人ができた
そう言えば、

ピタリと時が止まったように話さなくなる母。
グク
グク
俺には勿体無いくらいな人だよ。
美人で、仕事もできて、笑顔が綺麗な女性だ
母さんは、そんな人を待ってただろう?と、

まだ沈黙を貫く母に追い打ちをかける。
グクの母
グクの母
どうしてお見合いをしないの
グク
グク
俺にはする必要がないからだ
グクの母
グクの母
お見合いをした方が良いのに
グク
グク
母さん
何が何でも家柄が良い女性と交際してもらいたいと

言葉からにじみ出ている。

分かり易すぎなんだよ、昔から。
俺が、今回は一歩も譲らないと察したのか、

向こうでも小さくため息が聞こえた。
グクの母
グクの母
あとで家に連れてきてね
グク
グク
………いつかね
グクの母
グクの母
分かったわ。お母さんはジョングクの事、精一杯応援してるから
グク
グク
ありがとう、母さん
それと、ごめんね。嘘つきな息子で。

本当は恋人なんていない。

家に連れて行く予定もない。

俺がお見合い嫌なだけなんだよ。

ただの、俺のワガママなんだ。
グク
グク
…辛い
正直言って辛い。嘘をつき続けることが。

今まで、この関係に楽しさを感じていたけれど、

嘘をつき続けることが、こんなに辛いなんて。
グク
グク
…あなたは?
あなたはどうなる?

あなたの方が辛いに決まってる。

親友にまで嘘をついて、泣きたいに決まってる。
グク
グク
…やっちまった
こんな辛い事なら、頼まなければ…。

でも今から止めるなんて出来ない。

もう、後戻りはできないんだ。
グク
グク
だったらいっそ、楽しませれば良い
2週間後、俺達は写真を撮るためにデートをする。

場所は決まった。あとは、細かなプランだけ。
グク
グク
…俺が楽しませるんだ
辛いことを忘れられるように。  

その日だけで良いから、楽しんでもらえるように。
you
you
デート行くことになりました…
ミラン
ミラン
リア充は末永く爆発すればいい
you
you
ごめんなさい。生きるわ

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