パソコンの前で背中を伸ばして、
一気に脱力する。
私は疲れた体を癒すため、立ち上がった。
ヒラヒラとミランに手を振られ、
私はコツコツとヒールを鳴らしながら歩く。
オフィスを出て、シンクの方へ歩いている時、
後ろから肩をトントンと叩かれた。
振り向けば、スーツを着た男性。
この会社の社長だ。
…ジョングクさんの…お父さん。
シンクで2人分の珈琲を作り、社長に渡す。
社長は優しく微笑んで「ありがとう」と言った。
その顔が凄くジョングクさんに似ている。
さすが親子。
私たちは近くのソファに座り、本題に入った。
来た。バレるな。
私達の関係は恋人同士。
必要最低限の事だけを答えればいい。
言葉に詰まる。
こんなこと聞かれた事もない。
どうしよう。でも答えねば。
結婚を前提にとは言っていない。
だからか、社長も少し悩んでいる。
うわ、分かりやすいなこの人。
まぁいいやは絶対本心だ。
すぐに切り替える社長。
少し耳が赤い。
私達は2人を応援しているからな。
そう、クシャリと笑った。
ジョングクさんはお父さん似なのかな。
私はペコリと頭を下げ、一息つく。
少し危なかったけど何とかなったみたい。
それは酷いですよ!?と、
いつもの社長とは似ても似つかないほどの、
なんというか…可愛らしい。
私はフフフッと笑ってしまった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。