俺達は夕日に照らされた景色に目を細める。
大体絶叫系に乗らされて、
唯一の幸せはメリーゴーランドだけ。
今日は、どれだけあなたの笑顔が見れただろう。
それはそれは可愛い犬みたいな笑顔を。
ぼーっと前を見つめていた俺の顔を覗き込み、
にこりと微笑みながら御礼を言うあなた。
今、写真撮れば良かったな。
ミランさんに送ってやりたかった。
俺は立ち上がって、手を伸ばす。
その仕草にいい加減慣れたのか、あなたは自然と
俺の手のひらに手を絡めた。
俺たちは歩き出して、ゲートを抜けた。
そして俺の車に乗り込む。
つまんないの。と、唇を尖らせたあなた。
俺はケラケラ笑いながらアクセルを踏んだ。
そんなくだらない会話を車の中でしながら、
目的地の方面へ車のハンドルを動かす。
秋は日が沈むのが早い。
もう暗くなってきた。
今度は俺が唇を尖らせる番。
あなたは、その顔をパシャリと撮る。
人を売るな。と、釘を指す。
あなたは、はいはいとスマホを鞄にしまった。
そう言って、前を向くあなた。
本当に寝てていいのに。
こいつは何でこういうことを。
俺は笑ってしまった。
何でよっ!と腕を叩かれる。
台無しを台無しって言って何が悪いんだよ。
出たよ、素直じゃない所。
でもなあなた。
イライラした事なんて忘れるくらい、
感動するところに連れて行ってやるから。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。