第9話

君がいないなら
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2020/04/05 02:19


 今日、学校を休んだ。
 別に大したことではない。少し風邪を引いただけ。この程度なら学校に行けるけど、気が全く乗らない。
 早乙女先輩がいないという理由も一理ある。…いや、大半がそれだろう。そこまで深く考えてないつもりなのに。心の底ではそう考えているのかもしれない。テスト終わりで疲れも溜まってるし。ベッドに横たわりながらそう考えた。
「じゃあ、行ってくるね」
中野 光
中野 光
はーい。行ってら。




 パートの母が家を出たところで家に1人になった。今頃は朝の会をしている頃だろうか。
 中学校に入ってから休んだことあったっけな。…初めて休むかもしれない。体が弱い方じゃないから休むほど体調崩すことなんてなかったし。


中野 光
中野 光
ふぅ…。


 ため息をついて考える。
 そこまで怠いわけではない。気がするというだけ。
 行こうと思えば行けるけど…行ったところでつまらない話の板書を移すだけだし。行かなくてもいいかな、なんて思ってしまった。

 不登校になるつもりもないし、学校やめるつもりもない(義務教育はやめられないし)。ただ少しの気分転換をしたいだけ。



 
中野 光
中野 光
屋上、誰かいるのかな。


 しばらく屋上に通っていない。誰かいるのか、誰もいないのか。全く知らない。
 ただ一つ言えるのは、先輩の匂いはしないだろう。一人で食べた時、匂いがいつもより薄かったような気がする。僕が求めているそれは、僕一人ではなかったもの。

 となると、先輩だけ。今頃、先輩は齋藤先輩という人とイチャラブしているのだろう。
 僕の存在なんて心の1部にしかないのだから(1部にあるのかもわかんないけど)。
中野 光
中野 光
明日、学校いかなきゃな。



 さすがに2日連続はあれだ。みんなに迷惑はかからないだろうけど、仮病で2日連続欠席は性格上無理だし。



中野 光
中野 光
もうすぐ夏休みかぁ。



 夏休みになれば、先輩と会う理由なんてなくなる。先輩はバドミントン部だけど、僕は美術部だ。接点がなさすぎる。文化部は紅羽中学校には3つしかないんだし。あんなに美人な先輩なら、スポーツに行くのは当然だと感じている。イケメン多いし…。




中野 光
中野 光
占いでもしてみるか。


 スマホを取り出し、名前相性占いをしてみる。先輩と僕の名前を入力すると、

 お互いが、相手に愛を求めてばかりいるため、返って距離が縮まらなくなっています。相手から愛を注がれたければ、まず、自分から愛すること。理解してほしいと思うなら…と長文で示された。
中野 光
中野 光
つまり、僕から行けってことか。



 今日は1日冷静に考えて、明日も普通の日常を過ごせばいい。ただそれだけのこと。

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