第9話

さところの部屋
2,745
2020/07/16 15:02
最近吐き気がすごい
ご飯を食べても、何をしてても
これはもしかしてと思った時にはもう遅かった
さとみ
さとみ
なぁ、ころん
ころん
ころん
さとみ
さとみ
妊娠したん
ころん
ころん
……
さとみ
さとみ
何してんの?まじ
それは本来僕のセリフ
あんたが勝手に襲って出来たんでしょ
ころん
ころん
大丈夫です
副会長は気にしないでください
腐ってもこいつが父親だけど
そんなことはどうでもいい
1人で育てればいい話なんだから
この子にはなんの罪もないんだから
さとみ
さとみ
でもさぁ、俺らの子でしょ?
めんどくせぇなー
それを聞いた瞬間僕のなにかが切れた
ころん
ころん
うるっさいなっ…!!!!
ころん
ころん
副会長の子なんてまっぴらだよっ…、!!!
こっちだってなぁ!!いやだし、堕ろしてぇよっ…、!!!!でも、でも…、!この子はなんの罪もない…、僕には簡単に堕ろすなんでできない…、!!
ころん
ころん
だから、、!!僕1人で育てるので…、!!
初めて、歯向かってしまった
この子にはもっともっといっぱい素敵な人生歩んで欲しかったのに、この子と一緒に人生終わるんかな
さとみ
さとみ
…………
副会長は黙っていた
長い長い沈黙
すると、コツッと音がして音の元を見ると副会長がこっちに近づいて来ていた
まずいと思い、咄嗟にお腹を守った
僕は蹴られてもいい、けどこの子は…
下を向いて目をギュッと閉じる
でも副会長がとった行動は
ころん
ころん
ふ、ぇ…、?
僕を静かに抱きしめる事だった
さとみ
さとみ
なんだよ、お前可愛いじゃん
ころん
ころん
え、なに…、?
何が起こったの?
お腹を蹴られたわけでもなく
僕自身が蹴られたわけでもなく
抱きしめられてる…?
さとみ
さとみ
やばい、一気に愛しさきた
さとみ
さとみ
お前のせいだぞ、ころん
目線が合った時、最初の怖さなんかどこにもなくて
ただ、愛しい人を見るように僕を見つめていた
あぁ、この人はこんな顔もできるんだ
そう思うとさっきまで怖かったのに少しだけほんの少しだけこの人を愛しいと思った
この子のおかげなの、かな…

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