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第4話

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ゲームセンターを出てほどなくして秋待駅に着いた。何てことない、屋根の着いたバス停のような駅だ。電車に乗り降りするために高さがつけられているものの道路のど真ん中にあるということは春後駅と変わらない。
二人は暑さで項垂れており駅にあるベンチの上で休憩をとっていた。

「あちぃー」

紘雪のそんな声が車通りの少ない辺りに響く。陽炎が線路の上にたち向こう側の景色を歪ませている。今日の気温は何度ぐらいなのだろうかと桜一朗は考えていた。

「……おし!進むか」

その一言に目を開く。

「一晩越すなんて考えたくもないぜ」
「あ……そうだよな。付き合わせてごめん」
「ちが、そういう意味じゃなくて」
「ありがとう」

桜一朗は遮るように礼をのべると立ち上がり冬間駅へと続く線路を見据えた。

「なぁ、ひろ。STAND BY MEってわかるか」
「ん? たちあがれ?」
「違うよ、映画なんだけどさ12歳の男友達同士四人が線路を歩くシーンがあるんだ」
「え」
「歩きたい」
「お、おう」
「いいか?」
「お、おう」
「いこうぜ」

桜一朗はひょいと線路の方へジャンプして降りる。幸いここはアスファルトだ。バラストだったら捻挫してしまうかもしれないところだった。紘雪もつづいて降り立ち、二人は進み始めた。

「ここは単線じゃないからさそんなに危険じゃないけどさ」

先程の映画について桜一朗は語る。正直紘雪は知らないため、ふーんとかへーぐらいしか相槌をうつことができない。

「……はやく」

「ん?」

「いや、あの映画はさ、死体をさがしに行くことが四人の目的なんだ。なんか、今の俺たちと真逆というかさ」
「やめろよ」

二人の周りは蝉の声で満たされる。蒸し暑い空気がその間に流れ込んできて心を蝕んでいく。

「俺は本当に、必要ないと思ってる。母さんには迷惑をずっとかけっぱなしだし、いい加減いなくならないと」

パンッ

湿った空気のなかに乾いた音が響いた。

「俺は、いつも隣にいてもいなくてもお前が必要だと思ってる。いつも隣にいてもいなくても友達だと思ってる」

向き合うようになった体を進行方向に戻す桜一朗の頬は暑さで上気したせいと心なしか秋色に染まっていた。二人が歩く隣の線路を秋待へと向かって電車が通り過ぎた。