無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第6話

6
俺はそのあと警察署に連れていかれた。線路の上を歩いたこと、友人を刺したのではないかということ、それくらいしか覚えていないが何か色々聞かれた。

あの肩の温もりは涙だったと思いたい。
桜一朗のお母さんが泣いているのを見たときは俺も泣きそうになってしまった。

警察は、俺が刺したんたんだろうと言ってきたがなにも答えなかった。
桜一朗がそうでもしなきゃいけないくらいのことを思ってしまったのは俺のせいだと思ったから。
でも桜一朗のお母さんは、俺がそんなことするわけないと言ってくれた。そのときはただただ涙が溢れた。
母さんが俺を抱き締めたとき桜一朗のあの声を思い出してまた泣いてしまった。

もうお前がここにいないことを乾いた俺のTシャツが語っていた。
結局俺は罰金の処置ということで母さんが10000円を差し出していた。
たまたま電車が通らなかったことがこの処置で落ち着かせてくれたのだそうだ。

「紘雪君」

俺と母さんが部屋から出ると、桜一朗のお母さんは少し離れた場所から呼んだ。

「桜一朗のお母さん……すみません」

「謝るのは私の方よ。桜一朗といつも一緒にいてくれてありがとう。桜一朗はね学校の話をするとき、いつもあなたの名前を出すのよ。紘雪君となにをしたとか、お昼を食べたとか話してくれてね。全部あなたがいてくれたから桜一朗は生きてこれたんだと思うの。本当にありがとう。
それと、……これ、桜一朗の日記に挟まっていたの。受け取って」

そう言って渡されたのは「紘雪へ」と書かれた2つ折りにされたルーズリーフだった。
どうして日記を捨てようとしたのか理解できた。やっぱり、一瞬でも死にたくないと思っていたことがよりいっそう涙をあふれさせた。

「ありがとうございます……大切に読ませていただきます」

桜一朗のお母さんはうっすらと微笑みを見せた。その悲しい微笑みが桜一朗の見せていたものと重なってみえた。

手紙は、桜一朗らしい丁寧な字で二枚のルーズリーフにびっしり綴られていた。

お前がいなくなった夏に意味はないと、お前と過ごせなかった3ヶ月を酷く憎んだ。

『紘雪には迷惑をかけた。ごめん。俺がどんな死にかたをしても、忘れようとしてほしい。責任なんてものはお前には何一つない。ダメ人間でもいいから、お前には生きてほしい。
本当にごめんなさい。

お前が学校に来なくなった理由はわかってる。わかってたよ。
これからもずっと思ってるよ。ありがとう。

北田 桜一朗』