ねこ助が家に来て1週間が経った。
やっとねこ助の存在にも慣れつつある。
座って雑誌をぺらぺらとめくるわたしの隣へ来た。
そろそろ暖かくなったし、お出かけでもしよっかなって買ってきた旅行誌。
ねこ助はわたしが読んでる旅行誌に興味津々。
するとねこ助はニコニコの上目遣いでわたしを見てくる。
目をぱちぱちさせるわたしと、ニコニコのねこ助。
デート、って単語に過剰に反応しちゃって照れてるってのは恥ずかしいから黙っとく。
えーなんで~!!って駄々をこねるねこ助を見る。
ねこ助はぶーって唇を尖らせながら拗ねる。
…こいつっ!
さっきから恥ずかしいことばっか言いよって…!!
ねこ助お得意のおねだり顔。
その笑顔にめっぽう弱いわたし。
わたしが小さな声でそう言うと、ねこ助はパァっと表情が明るくなった。
部屋を出ていくねこ助。
………で部屋に戻ってきたねこ助。
超早着替えじゃん。
なんてクソしょうもないことほざいてるねこ助はほっといてリュックをからってキャップをかぶる。
ねこ助の服装は白のシャツに黒のパンツでシンプルだけど、似合ってるのがまたうざい。
スニーカーを履いて外へ出る。
ねこ助がわたしの手をぎゅっと握ってニカッと笑った。
ちょっと楽しそうなねこ助見て、わたしも少し笑顔がこぼれた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。