幸は、ゆっくりボタンを外しながら。
月兎に話しかける。
ベッドに月兎を倒す。
イヤな手つきで、身体を撫で回す。
月兎は怖くて、抵抗出来ずに居た。
涙が溢れて来る。
月兎に、覆いかぶさる。
月兎は、その時の事をよく覚えていない。
ただただ、恐怖と不快感。
突き上げられるたびに、体に流れる痛み。
耳元で、"愛しているよ" "カワイイ"と
ささやく声。
これだけが、記憶に焼き付いている。
その日の夜、部屋から出れなかった。
あんな事があった部屋だが、
どんな顔をして、母親の顔を見たらいいか分からない。
部屋を出る。
みんなが集まっている場所に行くと。
そこには、両親と幸、彼女4人がいた。
椅子に座って、何も無かった様に彼女に話しかけ。
肩や、髪に触れて居る。
一見幸せそうな恋人同士だが。
月兎にとっては、怖い光景だった。
幸が、何を考えているか分からなかった。
その怖さが、逆らえないと言う鎖を月兎の体中に巻き付けた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。