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第3話

天使と悪魔 (Ⅱ)
3,761
2019/11/16 07:00
《 JK Side. 》


「グガ、急用思い出したから帰るね」


そう言って天界へと帰ってしまった。

そこから1ヶ月もの月日が経ったが、
一度もジミンさんが門へ来ることは無かった。

あんなことを言ってしまったから
来なくなってしまったのではないか。

何をしているのか、
不安でしょうがなかった。

そして俺は魔界へ行くことに決意した。


「ジン様。お願いがあるのですが。
……………魔界へ行かせて欲しいです。」

「なぜだ?」

「会いたい人がいるからです。」

「そうか。
行っておくが、天使が魔界へ行った場合はもう天界へ戻ってこれない。それでもいいのか?」

「………はい。」


「分かった。」


それでもいい、それでもいいから
ジミンさんに会いたかったのだ。


そして契約書に記入した。


「今までありがとうございました。」


そう仲間たちに告げ、
天界を出た。

魔界も天界と何ら変わらない雰囲気だった。

天使が魔界へ行くと軽蔑されると聞いていたが、羽の色が真黒だからか、「パクジミンさんという人を知っていますか?」と聞き回っても何も疑われることなく、場所を特定出来た。


「1030…」


ジミンさんは高層マンションの5階、1030号室に住んでいるらしい。


((( ピンポーン )))

15秒くらい経ち、
「ガチャッ」と、ドアノブが回された。


「はい………え?」


そこには体調の悪そうなジミンさんが
立っていた。


「ジミンさん」


思いっきりジミンさんを抱きしめた。
俺日も何故だか分からない。
だけど、無性に会いたかったのだ。


「うぅ…」


ジミンさんは俺の胸に包まれて
涙をこぼしていた。


「ごめん…グガ、ごめんね。」


何度何度も呟き、泣きじゃくるジミンさんを
俺はただただ抱きしめるしかなかった。
一通り泣き終えたあと、


「汚いけど、あがって」


初めて、ジミンさんの家に入った。

部屋は真白で、マンションの外見からは
予想できないくらい綺麗だった。

部屋は片付いていて、
ソファとベッドと机だけが置いてあった。


「そこのソファに座ってて」


そう言ってキッチンへ消えていった。
少し待っていたら、お茶がでてきた。


「ありがとうございます」

「ふふふ、当たり前でしょ〜?」


そしてまた、あの糸目の笑顔で笑ってくれた。
1ヵ月ぶりにみたジミンさんの笑顔だった。
可愛いと思ってしまった。


「んーー、僕達ね」


そう言って話し始めた。


「僕達が人間界にいた時、マンションの隣人だったの。覚えてるかな〜?ははっ」


そこでようやく思い出した。
全ての記憶を取り戻したような気がした。


「でね、僕はグガのことが好きだったの。ごめんね、気持ち悪い?」


申し訳なさそうな顔で
こっちを向いた。


「全然、気持ち悪くないです。」


男を好きになったことは無いが、
ジミンさんを気持ち悪いと、思わなかった。
むしろ嬉しかった。


「で、ジョングクがダンススクールに行こうとしている所を興味本位で着いていったの。それも、ごめんね。」

「いえ。」

「ジョングクが車にぶつかりそうになっている所を助けようとしたけど、間に合わなくて。2人ともこうなってるの。」

「………俺を助けようとしてくれたんですか?」

「もちろん、好きな人を助けないわけないじゃん。ははっ、僕が身代わりになろうとしたけど、、、助けてあげれなくてごめんね。」


ジミンさんは唇を噛み締め、
目に涙を浮かべていた。
「ごめん、ごめん」とずっと呟いていた。


「ジミナ。」


さっきよりも強く抱きしめた。


「ジミンさん、ありがとうございます。
僕を助けてくれようとしてくれて、
本当に感謝しています。」


肩が濡れていくのが分かった。
ジミンさんは俺の服を強く掴んでいた。


「でも、もう離れないでください。
ずっとジミンさんと一緒にいたいです。」

「うん、うん、」

「だから、僕と付き合ってください。」

「……え?」


目を真っ赤にしたジミンさんは
俺の腕から離れ、驚いた顔をしていた。


「……なんで?」

「だから、ジミンさんとずっと一緒にいたいと思ったからです。これからも傍にいて欲しいです。ずっと。」


もうジミンさんと離れたくなかった。
手放したくなかった。

ジミンさんはまた目に涙を浮かべ、
今度は嬉し泣きをしていた。


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