放課後、部活に行こうとする浜崎を止める。
ちゃんと伝えないと。
お礼をしっかりと自分の言葉で。
浜崎はそう言って教室を出た。
誰もいない、夕日が差し込む教室。
何だか落ち着くんだ、ここが。
今日は部活もないし、勉強でもしようかな
そう思い、私は自分の席についた。
もう30分ほど経っただろうか。
だんだんと辺りが暗くなる。
危ない危ない。
つい、 "あんた"と呼んでしまう癖がついてしまったよう。
恋は盲目
恋に落ちると、理性や常識を失ってしまうこと…
ああ言えばこう言う……とはまさに笠原柊斗のことだとつくづく思う。
今のどういうこと?
少し……いや、かなり疑問を抱く。
全然嬉しくない。
柊斗はそう言ってハハっと笑った。
本当に反省してるのか……
私が柊斗のいない方のドアから出ると、柊斗は走って着いてきた。
確かに私たちの家の方はあまり生徒がいない。
実際、お互い一人なのだ。
家のことはどうにもならない。
仕方ない、一緒に帰るか……
そうして、私たちは昇降口に向かった。
そんな私たちを後ろから見る影があるなんてことに気が付かずに……
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。