第26話

嘘の真相
1,942
2021/02/25 09:00

放課後

私は浜崎と教室に残った。

佐々木 莉奈
佐々木 莉奈
浜崎……
浜崎 智弘
浜崎 智弘
ん?


言わなきゃ。

自分のためにも、浜崎のためにも。


佐々木 莉奈
佐々木 莉奈
私、私……ね
浜崎 智弘
浜崎 智弘
俺は莉奈のこと本気。偽装なんかじゃない
佐々木 莉奈
佐々木 莉奈
え……


そ、そんなこと言われたら……余計言えなくなるじゃん。

浜崎 智弘
浜崎 智弘
この前の件はごめん。これからもよろしくな。じゃ、部活あるから
佐々木 莉奈
佐々木 莉奈
ちょ……


浜崎は私の話も聞かずに出ていった。


浜崎が私の話を聞かなかったのは本当に時間が無かったから……?


それとも、私が言おうとしてたことに勘づいた?



私はそう考えながら、教室を出て廊下を歩いていた。


笠原柊斗
笠原柊斗
先輩?
佐々木 莉奈
佐々木 莉奈
柊斗……部活は?
笠原柊斗
笠原柊斗
今日はバスケ部休みです


休み……?


浜崎は私に嘘をついたの?


やっぱり……気づかれたのかな。



私の気持ちに。



多分それは……私がまだ気づいてなかった頃から。


最低だ。

みんなを巻き込んで、みんなを傷つけてる。


笠原柊斗
笠原柊斗
先輩?どうせお互い一人なんですから帰りましょうよ
佐々木 莉奈
佐々木 莉奈
うん


私たちはいつものバスに乗った。


浜崎に伝えなければいけない。


でも、話せないんだ。


多分……柊斗にも言えない。


私は強がってるだけで、本当は弱い人間。


勇気の欠片もないんだ。




呆然としながらそんなことを考えた。




気が付くと、もうバスは着いていた。


佐々木 莉奈
佐々木 莉奈
え、柊斗……
笠原柊斗
笠原柊斗
もうバレたんですから遠回りは辞めます


そっか……


柊斗はずっと遠回りしてたんだよね。


これからはきっと、柊斗といる時間が増えるんだろうな。

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