第44話

運命のくじ
863
2022/02/14 09:00
佐々木 莉奈
佐々木 莉奈
やぁだぁぁ〜!

机に伏せてジタバタする私を帆夏が慰める。


そう……運命のくじのせいだ。


私は思い切って、一番初めに触れたくじを取った。
こういうのは変に選んだりすると外れたりすることが多かったから。

でも、なんと書かれていたのは 『委員補佐』という絶対に目にしたくなかった文字で。



佐倉 帆夏
佐倉 帆夏
どんまい……


帆夏は何と言ったらいいのか分からない中、私の背中をさする。

佐々木 莉奈
佐々木 莉奈
柊斗と放課後デートする約束いっぱいしてたのに……
佐倉 帆夏
佐倉 帆夏
柊斗くんは?どうなのよ


そうだ、柊斗は委員になっていないのだろうか。

学年が違うとはいえ、委員であれば何らかの形で共同作業があるだろう。

それに賭けるしかない!

そう思った私は放課後になると、私は柊斗の教室に向かって走った。

自分で他学年の階に行ってはいけないと柊斗に注意したことがあるものの、私の足は止まらなかった。
佐々木 莉奈
佐々木 莉奈
柊斗!

私は放課後の教室にいた柊斗に声をかける。


笠原柊斗
笠原柊斗
ど、どうしたんですか
佐々木 莉奈
佐々木 莉奈
あのさ、委員なった?
笠原柊斗
笠原柊斗
なりましたよ
佐々木 莉奈
佐々木 莉奈
私もなったんだ。だから、放課後デートは出来なくなっちゃうけど……


柊斗も委員だということに少し胸を撫で下ろす。

笠原柊斗
笠原柊斗
デートくらい、またいつでも出来ますよ
佐々木 莉奈
佐々木 莉奈
そ、そうだね。じゃ


デートくらい、いつでも出来る。

確かにそうだけど、少し複雑だった。


デートはいつでも出来るという言葉にずっと付き合うといってくれたと思う反面、柊斗デートをそんなに楽しみにしてなかったんじゃないかという気がして。

こんなこと、今まで考えたこと無かった。

あーぁ。

どうしてこんなふうに考えちゃうんだろ。

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