(ドンドンドンドン…)
「どうしよう…!!生徒たちが来たっ!!」
エマは放送室のドアの前をいったり来たりしておどおどしている。そんな時でも転校生の二人は机によしかかりながら腕組みをして、おどおどしているエマを上から見下ろしている。それが、まさしく野獣の目つきみたいなもんだ。
「あけた方がいいのかなっ…。てか、二人ともなんか言って誤解解いてくれるよねっ!!」
・・・。
転校生A「は?解くわけねーだろ。お前が解け。」
転校生B「うーん。僕は焦っている生徒会長を見れるだけでいいからねー!」
「二人ともっー!!」
何度も、エマは転校生の方を見て許可を求める鋭い視線を送ったが、転校生二人は解く気ゼロだから、諦めてエマは生徒に向かう準備をした。
(生徒会長なんだからしっかりしなきゃっ!)
そう自分自身にいいかけて、ガヤガヤしているドアの向こう側を恐れるように、おそるおそるドアを開けた。
ガチャ…。
すると、勢いよくドアが開いた。その先には、ものすごい数の生徒がキラキラした目で放送室に入ってきた。
女子生徒「生徒会長~!キスしたんですよね~!カップル成立おめでとうございます!」
「は????」
男子生徒「俺の生徒会長がとられて悲しいけど、幸せになって下さいっ!!」
「はぁぁぁぁぁああ~??どうなってるのっ??」
(なんで、カップル成立までいってるのっ!)
予想外の出来事にエマは口を開いたままだ。
「ねえねえっ!!転校生さん!カップル成立って事になってるよっ!!なんか言ってよ!」
転校生B「僕、知らないー」
「はー????」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!