(顔、近っ…。この人は何をたくらんでいるのか…。)
転校生Bは、ずっと何かを期待しているような顔でエマを見つめている。その瞳はまん丸かった。
「やめてください…。キスってどういう事ですかっ??」
エマが質問すると、転校生Bの表情がすっとゆるんだ。作り顔をしていたのか。
転校生B「…。あーもう、つまんないなー。もっと、面白い反応すると思ってたんだけどなー…。ま、いいや。」
転校生A「何してるんだよ。さわるんじゃねーよ。」
転校生Aは少し悔しそうに左の口角を引っ張ったが、すぐ普通の顔にもどった。
「本当に何なんですかっ!!」
転校生B「ほらほら、怒んないの。エマちゃん、そんなことしてる場合じゃないんじゃないの??」
「はい??」
エマは、放送室のあたりをぐるっと見渡すとあることにきずいた。
「あ…!!放送入れっぱなしだっ!!!」
エマは急いで、音量MAXの調節レバーを一番下まで下げた。
転校生B「あーやっときずいたねー。面白い
事が起こったなー。」
転校生B「お前、きずいてなかったんかよ。
どうやって生徒たちの誤解をとく
のか。」
「どうしようー!!!」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!