第8話

~夏~②マラソン大会!
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2018/06/06 13:29
「よーい!どん!」

生徒たちの走る音が地面に伝わる。さっきより虫の鳴き声が増えた気がする。

「今、トップを走っているのは虎太朗君かな?」

虎太朗は、中学生の頃、陸上部に入っていた。さすが元陸上部という名前がある分速い。しかし中学校3年生の時に、足に大ケガを抱いて退部したようだ。

「あ、2位は晴大君だ。」

晴大は特に何もしてなかったが、幼稚園の頃体操をやっていたらしいけど、すぐ辞めてしまった。飽きたかららしい。

「あと、半周!!!」

エマの声は夏の暑さに溶け込んで、燃えている。エマから流れ出る汗はまるで雨のしずくみたいだ。

「あ、!!晴大君が追い上げている…!!」
「虎太朗君も粘っている‼」

最後の直線で、二人とも全力を出している。これはエマとデートに行きたいということだろうか。

「あと、50メートルぐらい!頑張れ!」

すると、ここである異変が起きた。

(え…。クラクラするっ…。)

「バタッ…。」

エマが倒れてしまった。その事にいち早く見つかったのが、虎太朗だ。 まだ虎太朗はゴールしていない。

「大丈夫か…??俺が保健室に連れていっていいかな??」

もう、ゴールをした晴大に目線を合わせている。

「別に…。」

晴大のいつもの口癖だ。

「分かった。」

虎太朗はエマを持ち上げた。いや、ただ持ち上げた訳ではない。お姫様抱っこをしたみたい。

「ちっ…。」

晴大の下をならす音。なぜならしたのかは誰にも分からない。

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