(みーんみんみんみんみんみん…。)
せみの泣き声が夏をおびき寄せる。ようやくこの学校にも夏が訪れようとする。
「はーい!!今日はマラソン大会をしまーす!2000メートル走りまーす!」
生徒「うわー!まじかー。」
生徒たちの声がせみの鳴き声と混じりあって、いつもよりうるさく聞こえる。
この学校では、毎年マラソン大会を行っている。距離は2500メートル。生徒たちが一番モチベーションが上がらない行事No.1と言っても過言ではないだろうか。
「そんなにテンションがさがる生徒たちに1位にゴールしたらご褒美をあげましょう!」
生徒「えー!!本当に!何ですかー?」
生徒たちの表情が軽くなった。
「そのご褒美とは!私とデート券でーす!」
男子生徒「えっ!!!いいんですかっ!!」
「もちろーん!」
女子生徒「私たち女子は??」
「私と食事券にしよっかな!」
女子生徒「わーい!!!」
エマは、わりと生徒にモテる。いつも自分の意見を主張したがるが、ちゃんと生徒たちを納得させれている。さすが生徒会長た思う。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!