第2話

なんなんだ、この状況は!
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2019/07/25 03:43
真野 魁理(マノ カイリ)
おはよう。
お迎えにあがりましたよ、主。
朝一番、ドアを開けて、にっこり笑った魁理を見る。

(・・・・なんなんだ、この状況は!)

真野 魁理(マノ カイリ)
さぁ、参りましょう。
差し出されたその手を見て、思った。

(あー!耐えられん!)
岩淵 美桜(イワブチ ミオウ)
あのさ、卒業までこういうの?続けるって言ってたけど、あれ無しにならないかな?もう十分というか、周りの目が気になっちゃうし・・・。
真野 魁理(マノ カイリ)
んー、周りの目が気になるなら…
そう言うと、魁理カイリの右手が伸びてきて私のあごを掴む。
真野 魁理(マノ カイリ)
…俺だけを見てればいい。
岩淵 美桜(イワブチ ミオウ)
…な、な、な、そんなことするわけないでしょ!もう今日は先に行くから!付いてこないでよね!
真野 魁理(マノ カイリ)
私には主を守るという使命がございますので、そういうわけには…
岩淵 美桜(イワブチ ミオウ)
そんな使命ないから!
あごを掴む魁理カイリの手を離した私はそう言い捨てて、走り出した。走って、走って。そして魁理カイリが見えなくなったところで、私は走るのをやめた。
岩淵 美桜(イワブチ ミオウ)
な、なんなのよ、この状況は…!
私の胸は走ったせいか、鼓動が早まっていた。ドクドクと大きく跳ねて、その速さは収まることを知らなかった。
(でもあの時、魁理にあごを掴まれた時、不覚にもカッコいいと思ってしまったことなんて、絶対に言わない!)
そうして、私は学校へと急ぎ歩きだした。この時、私の顔がリンゴみたいに赤くなっていることなんて私は知らなかった。

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