「 ちょっと、休憩 」なんて言いながら、私の隣に腰を下ろした
一瞬の揺らぎも見逃さないように、
__ 殺したいくらい憎んでる人とかいる?
揺らいだ
誘導尋問みたいで気分が悪いけど、これに関しては、これ以上先延ばしできない
佐野 side
まるで別人みたいだと思った
転校してきた時から、今までの一ヶ月間、
学校は週2で休むし、授業中は爆睡、変なことしか言わないし、ずっとへらへらしてる、どこか掴めない奴だと思ってたけど、
そんなことを聞いてくるようなやつだとは思ってなかった
返答がないことを不安に思って、横を見ると
あなたは、ただただ海を眺めていた
その横顔は瞬きを忘れるほど綺麗で、目を離せない
時間にして数秒、俺にとってはものすごく長く感じた時がたった時、あなたはこちらを見て言った
そう言って、笑った
宣言した通り、あなたは俺に説明する気はないらしい
馬鹿らしい話だ。と笑い飛ばせば、それですんでしまいそうなくらい
非現実的で、とても信じられるような話ではなかった
一ヶ月、関わってきた中で
あなたは平気でくだらねぇ嘘をつくし、
" 信じない " という選択肢もあったと思う
でも、どうしても俺は、この話を
"ホントのこと " と思えてしまった
あなたの問いに、ただただ頷くと、あなたは一瞬驚いた素振りを見せて、怪しい笑みを浮かべた
「 するに決まってんだろ 」
と言い終わる前に、あなたは俺の言葉を遮った
__ 最強だもん
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!