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第1話

共依存
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2020/07/14 13:58






赤い, 月 。
昔 赤い月の見える日 。或る夫婦の 夫が
“妻を殺した”
村人が 何故だ と問うと
「愛しているから,殺した」
だなんて , 狂ったかのように 。村人の誰に聞いても 「良い夫婦だ」と答える程 円満だった筈なのに ,
どうして ─────────, 村人は それを
赤い月に狂わされた とした 。




(善 side)

「い゛っ!? あぁ゛…」
悲痛な声と共に , ぱちゅん ぱちゅん なんて 生々しい音が聞こえる 。

最近, 炭治郎が可笑しい。いや 可笑しい所の事件ではない。これは死活問題だ。
今の状況を見れば解る, 俺は今 炭治郎に…レイプされている状態 。
は?は?は? 何で?
無理矢理だから 痛い , 首を絞められるから苦しい ,
爪で引っかかれたり 。今脳内会議出来ているのが不思議な位だ。 これがここ最近,毎日続いているんだ。夜だけ 。
しかも朝になると炭治郎は 俺にした事を全部忘れる 。俺も最初は悪い夢だと 思いたかった 。でも 身に残る感覚と傷跡を見て 認めざるを得なかった。

それもこれも あの日 から ,
あの日 赤い月が出て 。炭治郎の目が光ったと思ったら, 襲われて 。
きっと炭治郎は, 今の事も 朝になれば忘れてしまうのだろう。 怖い。
段々, 考える事が出来なくなってきた 呂律が回らない 。
俺は 気を落とした 。



朝だ , 身体が痛いし 重い 。気だるくて 動きたくない 。でも 動く , 今日は出掛ける日だ。なんて考えながら外へ出ると 聞き覚えのある いや,忘れたくても忘れられない声が聞こえた 。

「よぉ, 善逸。今日は随分怠そうじゃねぇか。徹夜でもしたか?」

うざ…ごほん。世話を焼いてくれる優しい優しい大先輩の宇髄さん!!(ヤケクソ)
「まぁ, ちょっと , ね 。」
昨日の … 。今日もあるのか と 思い出すと 涙が出そうになる。
「…どうした?何か変だぞ 。派手に風邪でも引いたか」
「なんでもないですよ。」
なんて 嘘を吐く 。そうしても 彼にはお見通しだった様で。「絶対何かあるだろ」 と 背中を叩かれる 。
其所には 昨日炭治郎から付けられた傷跡があり ,とても痛くて声を出す 。
「!? …善逸, 何かあるなら 言ってみろよ。深入りする気は無いけどな。」
もう嫌だ 。 …丁度 , 言う事を聞いてくれる 優しい優しい先輩が居るんだ , こうなったら …
「…宇髄さん, 家に泊めてくれませんか。」
「ん,ああ。そんな事でいいなら派手に泊めてやるよ。」
「有難う御座います。」



用事を済ませて, 家に帰り 炭治郎に一度挨拶を。
案外 「いいぞ」 なんて返事をしてくれた。
俺は宇髄さんの家に泊まって , 悩みの種 炭治郎の事も話した。親身になって聞いてくれて, とても楽しくて 。
「炭治郎の事は嫌いにならないのか?」
…あれ, なんで 言葉に出ないんだ。痛め付けられて 嫌いな筈なのに 。
「嫌い , 」
やっと出たその言葉 。宇髄さんは 「そうか 。嫌いなら嫌いで良いと思うが, 派手に仲直りをしたらどうだ? 炭治郎がその月のせいでそうなったんなら 胡蝶に頼めば治るだろ。」
確かにその通りだ。何故今迄その考えが出なかったんだ。 俺は , 直ぐに決行した。


しのぶさんによって元に戻ったらしい炭治郎に , あった事を話すと 謝ってくれた。心配になる程床に頭を打ち付けて。割れたのは床の方だったけど(
仲直りして , 今では一緒に仲良く寝ている。宇髄さんとしのぶさんに感謝するしかない 。

「炭治郎が戻って本当に良かった…」
「本当に申し訳ないな…善逸」
なんて, 布団の中で談笑する。付けられた傷も治ってきたようだs




「は?」
今の状況を説明しよう。俺は炭治郎に押し倒されている。なんで?ナンデ?治った筈なのに?
「善逸。善逸。」
何度も 俺のなまえを よぶ ,
「な…んで…?」
なんで。可笑しい。仲直りした筈 ,
「 善逸。俺は… 最初から赤い月なんて見ていないんだ」
は…? 赤い月を見てないって, もしかして…
炭治郎は, おれを おれの傷を見て 笑う 。
「結構消えて来たな , 」
なんて , 傷を指でなぞって 。
「ぁ…」
逃げられた筈なのに, 逃げられなかった。怖い筈なのに , 怖いと思わなかった。
「覚悟してくれ 。」




あぁ, そうか 。俺も 炭治郎が大好きで。
炭治郎も 俺がだいすきで 。
すぐに分かる事だったんだ 。
「共依存」

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