- 「せんいるちゅっかはむにだ~ ♩」
.
- 「さらんはぬんうりじみな~~♩♩」
- 「せんいるちゅっかはむにだ~~ッ。♥」
- 「じみな~、おめでとう!」
- 「こっち向いて!写真撮るから!!」
- 「ほら~、てひょなもこっち向いて?」
- 「じみな、ろうそく消そッ!」
「「「 せーのッ!!! 」」」
「ふ~~っ」
- 「きゃあっ、じみなおめでとう~!!」
僕はその日、5本のろうそくを吹き消した。
僕の命もこのろうそくのように呆気なく消える
あと少しだけ
" 灯が消えるまで "
どうか僕のそばにいてください。
.
「···」
はっと目が覚めて心臓に手を当ててみる
「よかった、まだ生きてる···」
視界にはなに1つ汚れのない真っ白な天井
少し横に目をむけるとたくさんの点滴や機械
下を向くと青い衣服を着た僕
呼吸をすると病院独特のにおい。
- 「ぱくさん、体調はどうですか?」
カーテンが開けばそこには看護師さんの姿
「あ、大丈夫です、」
- 「そう、それならよかったです。」
-「これ今日のお薬なので必ず飲んでくださいね。」
「···はい、」
薬を飲んでも治療をしても絶対に治らない僕の病気。
余命宣告を受けているのに、
そんなお金をかけて治療しても無駄なのに···
それでも、死が怖いのは
まだ生きていたいからなんだろうか?
「···」
ベッドの上に出されたテーブルに置かれた水と薬
飲む気なんてさらさらない。
- 「ぱくさん、体調いかがですか?」
隣のほうから聞こえる看護師さんの声
僕と同じ苗字の人なんてこの病室にいたっけ?
「あの、看護師さん。」
- 「どうしましたか?どこか痛いですか?」
「いえ、あのぱくさんって···」
- 「あぁ、あなたさんですか?」
「···はい、」
あなたさんって言うんだ···
- 「じみんさんにはまだ紹介していませんでしたね。」
「?」
- 「昨日、この病室に移ってきたぱく・あなたさん」
「は、はぁ···」
自分から聞いたくせになんて答えていいのか分からない
『私がなんですか?』
カーテンの隙間から顔をのぞかせたのは
点滴スタンドに手を置いてこちらを見ている
可愛らしい女の子だった。
『なんか用ですか?』
「あ、いえ、僕と同じ苗字なので···」
- 「あなたさんっ、あまり動かないでって言ったでしょう」
看護師さんからの注意をガン無視して僕の手を握った彼女
『じみんさん、お友達になりたいです。』
「·····え?」
君のことをもっと知りたいと思った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!