海人はあの後、目にいっぱい涙をためて、叔父さんに抱かれて向こうに行ってしまった。
玄樹の方を見ると、泣いていた。
玄樹だけじゃなく、勇太も。
頬には数えきれないほどの涙の跡があった。
そんな彼らに、俺は何も言う事が出来ない。
言葉がつまって、何も出てこない。
ため息が漏れる。
俺も、泣きたかった。
声を上げて泣きたい。
だけど.....
そう。
今度は、紫耀と廉との別れの時だから。
二人をできるだけ安心させたくて、優しく声をかけた。
つもりだった。
その言葉は、別れの時であることの証明する言葉だったようで、二人の涙を呼んだ。
泣きたくて泣きたくて、仕方がない。
けど、何があっても泣かない。
これだけは、ちゃんと守っておかないといけない気がしたんだ。
俺はそう言って目尻を下げた。
また、再会できますように。
そんな願いを込めて。
迷う時は険しい道へ
今日よりも若い日は来ないから
街を染め日が昇る
We are young
過去の自分がきっと君の背中を押すよ
世界に一つだけ 始まる story
目覚めた空の果て
見上げてひとり
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。