優太side
あれから一週間。
俺たちの別れの日が刻一刻と近づいてきている。
本当に辛いし、
出来ることなら離れたくないのが正直な気持ちだけど、
"俺たちはここで終わらない"。
それを、誰よりも知ってるから。
一度は折れた心だけど、何度だってやり直せる。
だから、
俺は、前に進み続ける。
なんかもう6人で住めるんじゃないかってくらいちゃんと生活できてるし。笑
まあ、そういうわけにもいかないんだけどね。
~一週間後~
ついにこの日が来てしまった。
バカだな、俺......
大丈夫だって、思ってたはずなのに。
全然ダメじゃんか....
末っ子の海人は、何が起こっているのか分かっていないらしく、呑気に俺に抱っこを要求してくる。
それは廉も同じようで、海人と同じように玄樹に抱っこして貰っている。
そして、二人よりも年が一つ上の紫耀は、俺たちが元気が無いのに気づいてご機嫌斜め。
皆、気づいているにしろ気づいていないにしろ、今日ここでお別れなのには変わりない。
ちなみにここは、新幹線乗り場だ。
けど、ここから海人は東京方面へ、紫耀と廉は名古屋、大阪方面に乗って現地に向かう。
そして俺は埼玉にある叔父さんの家へ。
玄樹と勇太は千葉の叔母さんの家へ向かう。
向かう場所がそれぞれ違う。
その事実が、何より俺の心を傷つけた。
ふと顔を上げると、早くも玄樹の目に涙が浮かんでいる。
俺は長男なんだから、ここは俺が慰めてあげないと。
そう思っても、足がすくんで動いてくれない。
これから先、俺がみんなの背中を押してあげられないかもしれない。
それを考えると、どうしても声をかけることはできなかった。
俺の顔は相当強ばっていたのだろう。
心配した顔つきで、叔父さんが声をかけてきた。
そうして俺らは別れの前最後の時間を確保した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!