11歳140cmには超巨大に見える水晶は鈴亜を悠々と見下ろす。
鈴亜はふぅ、と息を吐いてからぐっと全身に力を入れた。
そして魔力で出来た無数の氷塊を目に見えない速さで水晶に撃ち込む。
その衝撃波と音に周りは圧倒された。
鈴亜の全身全霊全力100%、渾身の一撃はなんと数値化不可能という桁違いの攻撃力だった。
数値化不可能-先程のココの数値がちっぽけに見える程度とでも言っておこう。
突然何かが崩れる音がした。
ガラガラ、と音がした方向を見る。
そこには砕けた青水晶があった。
突然鈴亜の右腕に激痛が走った。
見ると、氷の刃が鈴亜の細い腕を貫いていた。
じっと第3の目で鈴亜を見てからレントは頷いた。
エレイスがミラシエとアレイトに鈴亜に謝るよう促した。
なんとかエレイスのおかげでこの場は丸く収まったものの、砕け散った超希少なグリユステ・デュアリエトはどうするのかという課題が残ったと思われた。
しかしそこで声を上げたのは鈴亜だった。
そう言って、再びグリユステ・デュアリエトのもとへ向かう鈴亜。
蘇生、させればいいだけだ……。
鈴亜の声に反応するかのように散らばった欠片は勝手に集まってゆく。
そして-
グリユステ・デュアリエトは息を吹き返した。
その後中等部1年の鈴亜がグリユステ・デュアリエトを粉砕しそれを再生させたことは全学年の耳に届き、鈴亜は毎日知らない人に話しかけられるようになった。
勝負がしたいと上の学年に言われるもそれを呆気なく返り討ちに遭わせては下の学年からは魔法を教えてと先生のように慕われる。
鈴亜は帰宅することですら疲れの原因になるようになった。
そこである日、鈴亜はある提案を親にする。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。