第6話

手加減を知りましょう
116
2018/03/21 06:44
鈴亜
鈴亜
………
11歳140cmには超巨大に見える水晶は鈴亜を悠々と見下ろす。
鈴亜はふぅ、と息を吐いてからぐっと全身に力を入れた。
鈴亜
鈴亜
……………【水霊】-【ウンディネマーキュレイト】ッ!!
そして魔力で出来た無数の氷塊を目に見えない速さで水晶に撃ち込む。
その衝撃波と音に周りは圧倒された。
鈴亜
鈴亜
……はぁ……………はぁ…え?
ミラシエ
ミラシエ
数値化………不可能ですって?
ココ
ココ
レント…どういうことなのこれ
レント
レント
そのままの意味だろうな
鈴亜の全身全霊全力100%、渾身の一撃はなんと数値化不可能という桁違いの攻撃力だった。
数値化不可能-先程のココの数値がちっぽけに見える程度とでも言っておこう。
鈴亜
鈴亜
………なんで数値化出来ないの………
エルレア
エルレア
それだけ強いってことじゃ-ってグリユステ……っ!?
突然何かが崩れる音がした。
ガラガラ、と音がした方向を見る。
そこには砕けた青水晶があった。
鈴亜
鈴亜
…………壊れた
エレイス
エレイス
嘘………だってグリユステ・デュアリエトは今まで壊れたことなんか……っ!
鈴亜
鈴亜
…………………………っ!
突然鈴亜の右腕に激痛が走った。
見ると、氷の刃が鈴亜の細い腕を貫いていた。
ミラシエ
ミラシエ
この人、チート使いですわ!
数値化不能なんて……私達の歳では有り得ませんわっ!
鈴亜
鈴亜
ミラシエ……違う、違うよ。
わたしは全身全霊全力、渾身の一撃を放っただけで-
アレイト
アレイト
あの編入試験を満点で突破したのにか?
鈴亜
鈴亜
あれはたまたま全部知ってたから………
レント
レント
……………………
鈴亜
鈴亜
レント、わたし嘘ついてないよ!?
じっと第3の目で鈴亜を見てからレントは頷いた。
レント
レント
こいつ、嘘ついてない。
全部本当のことを言ってる
ミラシエ
ミラシエ
え…………
アレイト
アレイト
嘘やん……
エレイス
エレイス
…レントの読んだことが信じられない?
………鈴亜に何か言うことがあるはずよ
エレイスがミラシエとアレイトに鈴亜に謝るよう促した。
ミラシエ
ミラシエ
ごめんなさい、ですわ…
アレイト
アレイト
…すまんな
なんとかエレイスのおかげでこの場は丸く収まったものの、砕け散った超希少なグリユステ・デュアリエトはどうするのかという課題が残ったと思われた。
鈴亜
鈴亜
私が直す
しかしそこで声を上げたのは鈴亜だった。
鈴亜
鈴亜
私が壊したから、意地でも直してみせる
そう言って、再びグリユステ・デュアリエトのもとへ向かう鈴亜。
蘇生、させればいいだけだ……。
鈴亜
鈴亜
お願い…………『返って』…
ココ
ココ
………!(これ……!でもなんで………使えるの)
鈴亜の声に反応するかのように散らばった欠片は勝手に集まってゆく。
エルレア
エルレア
………凄い
そして-
鈴亜
鈴亜
…………やったぁ!
ココ
ココ
…………戻っ、た…!?
グリユステ・デュアリエトは息を吹き返した。
ミラシエ
ミラシエ
ア、アリス……魔力切れませんの?
鈴亜
鈴亜
少し疲れるだけで切れはしないかな
その後中等部1年の鈴亜がグリユステ・デュアリエトを粉砕しそれを再生させたことは全学年の耳に届き、鈴亜は毎日知らない人に話しかけられるようになった。
勝負がしたいと上の学年に言われるもそれを呆気なく返り討ちに遭わせては下の学年からは魔法を教えてと先生のように慕われる。
鈴亜は帰宅することですら疲れの原因になるようになった。
そこである日、鈴亜はある提案を親にする。

プリ小説オーディオドラマ