我々は、魔法使いは、人間界(この世)では生きにくい。
そんな、人間の中に密かに生きている魔力を持った人間-『魔法使い』が生きやすい世界。それが、ここ『魔法界』(ウィールワールド)。
笈原一家は、新天地……新天世界?で新生活が始まる。
イタリア人が絶対に言わない3つのワードから始まった優夢の言葉によりルアリエの言葉は遮断された。
優夢は鈴亜の頭を撫でる。
3月の終わり、11歳になる鈴亜と無事アラサーを迎えた、容姿は少女そのものの優夢、年齢という概念に疑問を持ち始めた賢者ルアリエという魔法においては天才、鬼才そのものの家族は人間界から魔法界へ引っ越す用意を着実に進めていた。
魔法学校ヴェルトラの編入試験に鈴亜はほぼ満点で合格した。
魔法学校ヴェルトラはユーリア曰く魔法界でも名門の学校らしい。
鈴亜は11歳になるから、中等部に編入ということになるらしい。
どうやら人間界と初等部、中等部、高等部の規定年齢が少し違うようで、3~10歳までが初等部、11~14歳までが中等部、15~16歳までが高等部らしい。17歳からは魔法学院生として魔導の窮極を追究するか、『魔法使い』として魔法界で平凡に暮らすか、はたまた人間界へ行き手品師として人間を驚かせるという変わり者も現れることがあるらしい。
鈴亜の使う魔法は人間界で使うと津波などの大災害を起こしかねない水に関する魔法だ。
しかもこの幼さで複合属性の魔法を完璧に習得しているのだから、恐らく魔法という実技面で鈴亜が周りより劣ることはなく周りから浮くこともないだろう。
引っ越す日は6日後。
翌日、鈴亜は学校で転校することを打ち明けた。
幼馴染酒豪賢者の2人は精霊を通じて会話をする。
どうやら引越し先に現れる魔物をユーリアが蹴散らしてくれているらしい。
【夢の奇跡】-悪夢を祓い光与える夢神。
優夢が街一帯を覆う悪夢をその体に閉ざしたように。
鈴亜もまた、優夢と同等、いや、それ以上の魔力を秘めているのだ。
-一家は、幸せだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!