第24話

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2018/11/16 12:14
翔琉side


怖いのが嫌いな所は変わんなくて そのくせ変に強がる所も変わらない。
まぁ少し素直さがなくなったと思ったけど
それでも可愛いからいいや。

怖がって嫌がる乃愛をみたくてお化け屋敷に連れて(強制) きちゃったよね。まぁ俺も少しは気になってたし

あわよくば何かあればいいなぁ とは思っていたけど


予想以上のものが飛びついてきた


ドンッと身体に衝撃がはしってよろけないよう足に力を入れていたら

ふわりと鼻孔をくすぐるシャンプーの香りと甘い匂い。

乃愛の体温が布越しでも伝わってくる

じわりと身体の中が熱くなっていくのが自分でも分かる
それに、急に抱きついてきて煩い心臓を必死に抑えている途中なのに
ばっ、と急に顔を上げたかと思えば 何かをいいかけて固まる


今日は厚底の靴を履いていて、いつもより背が少し高くなっている
そのおかげで いつもより距離がうまる

目下にある乃愛は目をぱちくりと瞬かせ
「あ、」と口から空気とともに吐き出す

『っ!』


─ざわりと胸が騒ぐ

いろんな欲が喉元にせり上がってきて
喉仏を上下させる
ゴクッという音がやけに耳に響いた



だけど、ズルくて臆病な俺は

ちゅっ、


彼女の額にキスはする


わずかな理性を働かせてパッと腕を離す

『ほら、なんもいないから速く脱出しよ』
「っえ、あ?」

ポカーンと顔をさせる乃愛は「ん?ん?」と小首をかしげている。自分の額に手のひらをあてて みるみると顔を赤く染め上げていく

「っ!!な、にして!?」

やっと理解したらしいおバカさん。

『事故事故、ほら、速くいかないとまた 足首掴まれちゃうかもよ?』

ケラケラと笑い流して ほら、と手を差しだすと最初みたいに嫌がらず素直に手を握り返した









シャツに出来ている握られていた跡の皺と染み込んでふわりと香る彼女の匂いが愛おしく感じて 洗濯したくないな思ったことは胸の内に閉じ込めておこうと思った。




ただ、ただ

俺はこの心臓の音と熱が伝わりませんようにと願った



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