保健室に着けば幸い 担当医は不在。
良かったぁ、色々聞かれるのめんどくさいし、サボってるのバレる。
『お前はそこに座ってろよ〜』
「はーい」
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「ってて、いたっ」
『、ククッーー』
笑うのを我慢しているのか少し頬が痙攣してぴくぴくしてるし、 バレバレだっつーの。
「もう、さわんないでよっ!」
冷やしとくだけでいいのに腫れてる部分をつんつんつつくコイツの気が知れない
『わりぃ、わりぃ 面白くってよっ…ククッ』
なんか、そんな笑われたら怒りが萎縮していく
「もう…。」
時計をみれば 授業開始してから15分は経っていた (サボっちゃたな〜)
少しの罪悪感があるけど、まぁどうにかなるでしょ精神でそんなもの消し飛ぶ
「奏太はサボりの常習犯?」
『まぁ、そうだな〜』
「てゆーか木の上で寝るって野生児なとこは変わってないのね」
『いやいや、1回寝てみろよ、案外快適。しかもバレない』
「ふははっ、 なによそれ。絶対虫とかいるから却下で」
そんなつまらない会話だけでも笑えちゃう。
なんだかんだ、高校で再会出来て良かった
私が急にいなくなったことを聞かれるのかもって思って身構えてたけど意味なさそう
「にしても、翔琉も奏太もかっこよくなったねぇ」
『あぁ、よく言われる。女子から逃げるために木に隠れてるのもあるからな。』
(嫌味かっ!でも、事実だからなんも言えない)
「さっきも翔琉の事で呼び出されてさぁ、散々な目にあったというね…」
『翔琉と、もうそんな仲良いのか?』
「え?まぁ、今は隣の席だし仲いいよ」
『・・・へぇ、』
少し低くなった声に一瞬雰囲気が変わったような気がして
「どうし_」
ーーーバァンッ
私の言葉は言い終えることなく
急に大きな音をたてて開いたドアに邪魔される
私のビクッと肩を跳ねる。
それに比べて奏太はそれを面白そうな物を見る目で見つめている
『乃愛…なにしてるの?』
ーーーー扉の奥から現れたのは翔琉だった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!